活動実績等

PRA用パラメータ専門家会議 第8回議事概要

日時 平成26年10月30日(木)13時30分 ~ 16時00分
場所 原子力安全推進協会 13階 第B,C会議室

出席者(順不同 敬称略)

委員 笠井主査(秋田県立大学)、高田副主査(大阪大学)、栗坂委員(JAEA)、吉田委員、
桐本委員(電中研)、松中委員(東京)、野村(関西、成宮委員代理)、友澤委員(四国)、
藤井委員(東芝)、曽根田委員(日立GE)、黒岩委員(三菱)、佐藤委員(TEPSYS)、
倉本委員(NEL)
常時参加者 西野(JAEA)、曽我(電中研)、門田(NEL)、福田(GIS、根岸代理)、
衣旗(日本原燃、玉内代理)
事務局 橋本幹事、錦見(JANSI)

議事概要

  1. 前回議事録の確認
  2.   
  3. 起因事象発生頻度推定手法の検討
     委員より、起因事象発生頻度推定手法の検討について説明した。概要及び主な質疑応答、コメントは以下のとおり。
    • 0件発生の事象が多いため、機器故障率計算と同様に一般発生率の収束性や結果の現実性に問題がないかどうかを検討した。
    • “直接法”による一般発生頻度の未収束問題については、個別プラントの結果のマージにより解決可能である。
    • 0件を0.5件として評価する事前一様分布による事後分布裾切りの問題は、米国評価値を用いた事前分布の利用により解決可能である。ただし、米国評価値の我が国への適用性の判断が必要となる。従属性のある起因事象も同様である。
    • 計画停止発生頻度については、停止間時間のワイブルフィッティングから平均停止時間の逆数を発生頻度とすることにより、ポアソン過程によるランダム発生とみなしている。(常に計画停止がありうるという想定、あるいは、年間変動の平均化)
      
  4. 機器故障率の試計算について
    (1)機器故障率の推定手法について
     常時参加者より、機器故障率の試評価について説明した。
     概要及び主な質疑応答、コメントは以下のとおり。
    • 事前情報をNUREG/CR-6928 Updateに変えた結果、事前分布のEFが小さくなりすぎてしまった(事前分布のEF ≒ 4) 。一方で、PRAの不確かさ評価に用いるにはEF=10はやや大きすぎると考えられる(外れ値の影響で非現実的なCDFが出る可能性が高い)。
    • EFは事前情報にあまり影響されるべきではないため、EFに影響のあるハイパーパラメータはリストから選ぶこととする。今回の試評価はA=0.5、σμ=1.0の組み合わせにより事前分布のEF=18.7となるもので実施。
    • ケーススタディよりEFと故障率は供用時間の大小による信頼度を反映していることがわかった。EFが小さいというのは国内実績の反映によるものであり問題はない。
    • 個別故障率をベイズ更新で計算するために一般故障率を事前分布として使う場合には、今回試計算した一般故障率のEFを適用するのではなく、解析者が別途適切な広いEFを設定するべきと考える。

    (2)機器故障率の推定手法について
     委員より、29ヶ年データの各機種・故障モードに対して選定すべき事前情報のルールについて説明した。
     概要及び主な質疑応答、コメントは以下のとおり。
    • 29ヶ年データの機種・故障モードとNUREG/CR-6928 の 2010 年版の機種故障モードは、一致するものと一致しないものがあり、一致しない場合には事前情報の選定ルールを設定して、適切な事前情報を選定する必要がある。
    • 事象選定のフローに従い、事前情報の選定方法を次の5つに分類する。
      • 一致する機種・故障モードの事前情報に選定(換算なし)(①)
      • 一致する機種・故障モードの事前情報に選定(換算あり)(②)
      • 類似の機種・故障モードの事前情報に選定(換算なし)(③)
      • 類似の機種・故障モードの事前情報に選定(換算あり)(④)
      • Generic な故障率を事前情報に選定(⑤)

    (3)新手法を用いた26ヶ年データの実証計算について
     常時参加者より、新手法を用いた26ヶ年データでの実証計算の状況について説明した。
     概要及び主な質疑応答、コメントは以下のとおり。
    • 新手法による試評価で判明した①計算が止まる問題、②外れ値が引き継がれる問題については、stanコードの修正およびチューニングによって解決した。
    • 全故障モードに対して一律の初期値を用いると初期値が事後分布からかけ離れている場合においては、定常分布からのサンプリングに失敗し、計算が流れない故障モードがあった。ただし、初期値を適切に選択すれば、計算結果の妥当性に関して問題はなくなる。
    • 事前情報の選択ルールに関らず、用いる米国データが国内データの最尤推定値とあまりにかけ離れると定常分布への移行に失敗し、stepsizeが1桁ほど小さくなり、σが100程度の推定値になる場合があった。この解決には、初期値の適切な選択、及び適切な事前情報への変更で対処可能であり、ABWR関連機器を除いて解決した。
    • 上述のABWR関連機器の推定の問題解決に向けては、以下のものが考えられる。1) 事前情報を事後分布とかけ離れているgenericは用いず、事後分布に近いものに変更する2) 分散に基づき外れ値を除外する。

  5. 最終報告書のまとめに向けて
    幹事より、報告書のまとめに向けて説明、コメントを頂くこととなった。別途、電子ファイルを各位に送付する。


  6. 今後のスケジュール
    事務局より、今後のスケジュール、次回議題案について説明し、第9回PRA用パラメータ専門家会議を11月27日(木)に開催することとした。

以上