2024年10月16日(水)、17日(木)の2日間にかけて、JR東日本総合研修センター(福島県白河市)において、標記セミナーを開催しました。
JR東日本の安全への取組み方、安全文化について学ぶ上で、まず鉄道の基礎知識を学びました。この講座を作られた佐藤講師(副本部長)自らの経験と豊富な事例を元に、人間の「過信の壁」の存在、「閉そくのしくみ」による事故未然防止対策の実施、「軌道回路」による人が介在しない信号制御設備など、なぜそうしているのか?を興味深く講義いただきました。
整列、点呼、指差喚呼(呼称)などJR東日本の新入社員になったつもりで、基本動作訓練、団体行動訓練を実施しました。徐々に全員の動作が揃って来るにつれ一体感が生まれ、コミュニケーションアップにも役に立ちました。受講者のみなさん一人一人がモチベーション高く、この訓練に参加され、こちらもとても好評でした。
実習用の踏切やホームにおいて、非常停止ボタンを実際に押してその意味を理解したり、約40kgのダミー人形を使ったホームからの転落者救護訓練で救護の難しさを体感しました。また、列車停止演習では、大きな声で「止まれ!止まれ!」と叫びながら、手旗で大きな弧を描き、緊張感をもって、周囲を巻き込んで早く列車に異常を気付いてもらう動作を体験しました。
過去の痛ましい事故を風化させることなく、より安全に運転するためにどうすべきかを考え続けるために、この「事故の歴史展示館」はとても重要です。事故に遭われた方のご家族からの手紙も掲示されていましたが、ご家族を失った方は何十年にも渡ってその記憶は消えることが有りません。私たちも業種は異なりますが安全の重要性を改めて心に刻みました。1時間の見学時間でしたが、もっと見学していたかったとのご要望が多数聞かれました。
実際に電車の運転士養成で使用しているシミュレータを使った列車運転を体験し、列車を運転することの難しさを学びました。日頃何気なく停車位置に止まった電車に乗降していましたが、発車してから駅に到着するまでに、幾つものチェックや確認が行われていること、信号確認、ブレーキ操作など電車を安全に操縦することの難しさを体験しました。何度か駅間を走行させるのですが、本当に真剣に(ゲーム感覚で)チャレンジしましたが、次の駅に定時かつ正しい停止位置に止めることは至難の技でした。
ヒューマンエラーを起こさないようにするために、人間の特性を知り、陥りやすいエラーについて学びました。「人間はエラーをするものだ」という前提に立つことが大事であること、そして「問題のない職場は無い」、「やらされ感では、真剣に安全問題に取組めない」ことについて考えさせられました。最後に、受講者が研修から得た気づきや行動目標に等について一人ずつ発表いただきました。
セミナー後のアンケートでは、次のようなご意見・ご感想をいただきました。
●このセミナーを上級管理職にも、ぜひ受講してほしいと思った。
●今回のような原子力以外の分野の(安全に係る)セミナーを増やしてもらいたい。
●よい勉強になった。研修テキストは再度、深く読み返したい。
●JR東日本は巨大企業であり、人材管理面においても日本のトップランナーだと感じた。
●(良いことが書かれていたので)テキストにないスライドも配布してほしい。
●最後のみなさんの発表をじっくりと聞きたかった。
●講師、受講生共に真剣にこのセミナーに取組んだことが、強く印象に残った。
●(JANSIが)原子力業界を横断する機構として安全文化の専門性を活かしてセミナー活動に鋭意取り組んでいることに感謝。
この研修は、「(株)JR東日本パーソネルサービス」殿にご協力を頂いて実施しております。
以上