日本原子力発電株式会社 東海・東海第二発電所にて
第204回安全キャラバンを実施
2026(令和8)年3月26日、日本原子力発電株式会社 東海・東海第二発電所において、第204回安全キャラバンとして、安全講演会と安全情報交換会をおこないました。
1.安全講演会
[発電所長 山口 嘉温様]
講演会には、東海・東海第二発電所および協力会社、合計77名の方々が出席され、終始熱心に聴講頂きました。
講演に先立ち、東海発電所長 兼 東海第二発電所長の 山口 嘉温 様から「発電所では、組織面を含めた安全管理について改善に取り組んでいるところであり、本日の講演が我々の改善活動に役立つことを期待し講演を伺いたいと思う。」とのご挨拶をいただきました。
その後、原子力安全推進協会 安全基盤部 安全文化G グループリーダー 深野琢也から、「組織文化の把握と改善〜気づきを促す人と人を支える組織のために〜」と題して、講演を行いました。
講演の骨子は以下の通りです。
[講師 JANSI深野琢也]
- 組織文化や安全文化という概念は、チェルノブイリ事故を契機に注目されるようになった。これは、事故の原因が個人や設備だけでなく、組織、技術、事業環境などが複雑に絡み合って生じる「組織事故」であることが認識されたためである。組織事故は、単純な是正措置では防ぎにくく、組織全体のあり方が問われる。
- スペースシャトル・コロンビア号事故では、技術的損傷の可能性が認識されていたにもかかわらず、十分な調査や対処が行われなかった。その背景には、官僚主義的な組織文化、強い工程圧力、過去の成功体験への過信、そして「物が言えない」「言っても聞いてもらえない」雰囲気があった。技術者は懸念を感じていたが、上層部に意見を伝えることができず、結果として重要なリスク情報が組織内で共有されなかった。この事故は、17年前のチャレンジャー事故と同様の組織的要因を繰り返しており、曖昧な脅威を軽視することの危険性を示している。
- こうした教訓から、組織文化とは、構成員の間で無意識に共有される思考や行動様式であり、組織のパフォーマンスや安全に大きな影響を与える基盤であることが分かる。安全文化は組織文化の一部ではなく、組織運営のあらゆる側面に影響するものである。IAEAも「Culture for Safety」として、特定の活動領域に限定せず、組織全体のあり方として捉えることを求めている。
- 一方、米国のTVA(テネシー川流域開発公社)の原子力発電所は長年、トラブルや低パフォーマンスに苦しんできたが、近年では模範的な運転実績を達成している。その転換の鍵は、「人・文化・設備」に着目した改革であった。特に人と文化の面では、自らの組織の現状を直視し、あるべき姿とのギャップを対話を通じて明らかにし、言行一致を重視した取り組みが行われた。
- 経営層は「安全をすべての中心に置く」ことを掲げ、上下左右の壁を越えてフラットに問いかけ、耳の痛い意見にも耳を傾ける姿勢を示した。これにより、従業員が安心して意見や懸念を表明できる環境が整い、継続的改善の文化が醸成された。リーダーシップは特定の役職者だけのものではなく、関係性の質を高める行動として、誰もが発揮すべきことと捉えられている。
- (まとめ)複雑で答えのない現代の事業環境においては、従来の組織文化のままでは限界がある。人間や組織の特性を理解したうえで、現状を把握し、行動変容を積み重ねることが、安全パフォーマンスの向上と組織のレジリエンス強化につながる。人と人を支え合う関係性を基盤に、気づきを促す組織文化を育てていくことが重要である。
講演会終了後のアンケートでは、
●組織事故は多数の人や集団、いくつものプロセスが複雑に影響しあって起きるということを知れた。
●トラブルは単なる人の行動の問題(原因)では無く、その人を行動させている組織文化に問題があることが改めて認識できました。
●組織として強化すべき事項が何かを知ることができた。
などのご意見・ご感想をいただきました。
[ 質疑の様子 ]
[ 安全講演会の様子 ]
2.安全情報交換会
安全講演会に引き続き、東海・東海第二発電所各室のマネージャ―クラスを中心とした11名とJANSIで安全情報交換会を行いました。
安全情報交換会後のアンケートでは、
・JANSIの方々の知見や、様々な部署の意見が聞けてとても参考になりました
・他部署の悩みや現状について知れた。
等のご意見をいただきました。
以上