電源開発株式会社 大間原子力建設所にて
第195回安全キャラバンを実施
2024年5月14日、電源開発株式会社 大間原子力建設所において、第195回安全キャラバン(安全講演会、意見交換会)をおこないました。
1.安全講演会
講演会には、大間原子力建設所の60名が参加され、終始熱心に聴講されました。
講演に先立ち、大間原子力建設所長 古賀薫様より、「本日は、リーダーシップについて講演を頂くが、リーダーシップというと所幹部が中心となって発揮するものと思いがちだが、リーダーシップは所幹部だけではなく、皆が目標と現実とのギャップに対してどういう方向でやっていくかチャレンジすることだと思う。(本日のキャラバンを通して)皆がリーダーシップを考える機会になればと思う。」とのご挨拶を頂きました。
講演では、原子力安全推進協会 安全基盤部 安全文化Gの越前調査役より、「組織の有効性と活力を高めるリーダーシップ」と題して、前回の現場診断で見られた当建設所の組織文化の特徴についてお話しした上で、組織の有効性と活力を高めるという観点で有効なリーダーシップとはどういうものなのか、リーダーシップが果たすべき機能とは何かをお話ししました。次にリーダーシップに関わる良好事例及び反面教師的事例について紹介し、これら良好事例や反面教師的事例から導かれる核心部分を説明することで、組織の有効性と活力を高めるリーダーシップについての理解を深めていただけるように講演を行いました。
講演の骨子は以下の通りです。
- 組織文化を考える上で留意すべき点は、①組織の強みと弱みは表と裏の関係であり、状況次第で変わることがある、②その背後や深層部では複雑な構造と相互作用がもつれ合っており、それゆえ、部分や表層だけを見て変えようとしても上手くは行かない。
- 変化が激しく予測が困難な現実に上手く適応するためには、小手先ではなく、仕事の枠組みや優先順位・人や組織同士の関係性など組織(文化)全体のありようを大きく見直さない限り難しい。
- 組織のトップから現場第一線(上から下)まで、一人ひとりが分け隔てなく自らの主人公だ、という当事者意識を持ち、組織の共通目的に沿って周囲への影響力を発揮しなければ上手く行かない。誰もがこのことを理解し、我が事として実践することが必要だ。
- リーダーシップが果たすべき機能は、①目指すべき方向性と筋書きを明示する、②個人の能力を開発するとともに、常により良い姿を目指す‘学習する組織’を育てる、③組織の誰もが運命を共にする仲間としての思いを共有し、分け隔てなく、自発的に、責任をもって組織の運営や活動に参画・関与できるように尽力する、④さまざまなリスクを油断なく識別・察知・分析し、適切で賢明な意思決定を行う、⑤その場限りではなく、先につながるような結果を出し続けることである。
- 事例紹介として、①多くの試練を乗り越え、長年、米国全体の下から1/4の範囲に低迷していた運転成績を、2023年には7基全てが模範的な運転実績を記録するまでに好転させたTVAの紹介、②潜水艦部隊の劣等生的存在だったサンタフェを、2年のうちに艦隊トップ級に躍進させたマルケ艦長が行った事の紹介、③20世紀の米国を象徴する超優良企業だったGEが崩壊するに至ったいきさつについて紹介した。
- これら3つの事例から導き出される‘望ましいリーダーシップ像’は、①組織の最も大事な約束事・価値・目標を心から信奉し、仲間と共有している、②自分の力を過度に恃(たの)まず、謙虚に耳を傾けて省みるとともに、周りの力を高め最大限発揮することをまず考える、③周りを助け、人の役に立とうとする心構えを根底に持つ、④仲間を信頼し、敬意を持って公正に接する、⑤分け隔てなく開かれた姿勢を保つ、⑥どんな時も前向きに、ベターを目指して率先し、周囲を明るくする、⑦言行が一致していて責任を持つ、⑧現実を客観的に認識する冷静な目を持つことである。
講演会終了後のアンケートでは、
- リーダーシップのあり方を考えさせられる内容で大変興味深かった。改めて自分の行動を振り返らされた。
- 組織の最も大事な約束事・価値・目標を心から信奉し,仲間と共有する、耳を傾け承認し任せる、やっている姿を感謝で見守る等、本日、学んだことを実践していきたい。
- 所としての弱み強みや今後すぐ改善していけることは何か等考える機会をいただけたと思う。
- それぞれの層が、自分が責任者との意識をもって行動する必要があると認識できた。
等、リーダーシップのあり方や組織のありようと改善についての意見や感想が多く寄せられました。
2.意見交換会
現場診断結果を踏まえた大間原子力建設所の組織文化(特に、リーダーシップ)の向上に関する活動計画を紹介していただき、幹部に求められるリーダーシップのあり方の共有とその実践として取るべき振舞いについての共通認識を深めていただくことを目的として意見交換を行いました。(参加者14名+JANSI講師2名)
実施後のアンケートでは、
- 今後、当所でどの様な取り組みをすべきかという点で、様々な気づきを得られた。
- 少しでも「望ましいリーダーシップ」を意識し近づけるよう取り組んでいこうと思う。
等の意見・感想が寄せられました。
以上