中国電力株式会社 島根原子力発電所にて
第191回安全キャラバンを実施
2023(令和5)年9月20日、中国電力株式会社 島根原子力発電所において、第191回安全キャラバン(安全文化講演会)をおこないました。
1.安全講演会
この講演会には、島根原子力発電所をはじめ、中国電力(株)本社などから177名(内44名がWebによる参加)が出席され、終始熱心に聴講頂きました。
講演では、原子力安全推進協会 安全基盤部 安全文化G グループリーダー 深野琢也より、「「なぜ、ものが言えなくなるのか」を考える」と題して、組織のパフォーマンスを向上させるために重要な「ものが言える環境」について、その重要性や失敗事例、「ものが言える環境」を構築するためにはどこから手を付ければよいか、などについて、理解を深めていただけるように講演を行いました。
講演の骨子は以下の通りです。
- 「自職場は風通しがよい」との認識は、あくまでも「言ってもよいこと」「異論を言ってもよい範囲で言っている」 面もあるのではないか。組織にとっての最大の脅威は、「ものが言えない」ことを意識せぬまま「ものが言えていない」ことではないか。
- 耳を傾けるべき立場にいる上層部の人々は、自分の存在が下位層の人々を押し黙らせる組織の特徴に気づけない。上層部がつくる雰囲気が、メンバーの発言を抑え込んでしまう。威圧的な態度を取っているつもりがなくても、沈黙の引力は働くことがある。発言することのリスクが大きいと感じた人は、発言するよりも沈黙することを選んでしまうもの。
- ものが言えない、言っても聞いてくれないことが起因となった組織事故の事例として、スペースシャトルコロンビア号の事故を紹介。この事例の内、打ち上げ時に生じた損傷を確認し検証する機会は何度もあったが、トップのふるまいで、確認ができないという全体の‘空気’ が出来上ってしまい、事故を防ぐチャンスを逃していたことを紹介。
- 「心理的安全性」とは、自分の意見を素直に伝えても、このチームなら対人関係が悪くなるような心配をしなくてもよいと信じられる職場環境のこと。心理的安全性が低い状態で、仕事の基準が高くなると、「対人関係の不安ゾーン」に入り、企業活動のリスク要因になる。
- 国柄や文化が違っていてもパフォーマンスの高い組織に共通するコアな特徴があり、これらの要素が絡み合って、相乗効果を発揮し、組織のパフォーマンスが向上していく。
- 自己アセスメントで得られた自らや組織のありようを把握し、トップを始めすべての所員が何をすべきか主体的に考え実践するプロセスを経て、「ものが言える環境」が育まれる。
- <主な内容>
1.なぜ「ものが言えなくなる」のか
2.組織事故の事例
3.「ものが言える」環境を育む必要性
4.心理的安全性の誤解
5.どうしたら「ものが言える」ようになるのか
講演終了後、島根原子力発電所長 岩崎 晃 様から、
「ものを言える組織となるためのリーダーをどう増やしていけばよいか」というご質問を頂き、「確立した方法論の本質を包括的に捉えて、最も効果的と思われるツボへの打ち手を選択して欲しい」とお答えしました。
講演会終了後のアンケートでは、
●ものが言えないことの問題点やリスク、改善するための考え方について学ぶことができた。
●講演内容を自分に当てはめたときにできていないところが多々あり、自分自身を見つめ直す良い機会となった。
●講演内容を職場にフィードバックして、より良い環境(心理的安全性)を構築したい。
などのご意見・ご感想をいただきました。
以上