活動実績等

原子燃料工業株式会社 熊取事業所にて
第181回安全キャラバンをwebで実施

令和2年10月27日、原子燃料工業株式会社 熊取事業所において、第181回安全キャラバンをweb実施し、安全講演会を行いました。

1.安全講演会

 原子燃料工業(株)熊取事業所員35名が出席され、終始熱心に聴講されました。

 講演会の冒頭、原子燃料工業㈱ 熊取事業所長 塩田 哲也 様から、「熊取事業所では、不休業災害を含め、今年度になってから災害が多く発生しています。発生防止に向けた取組を継続しているが、より効果的な対応を行いたいと考えているところです。こうした状況の中、色々学びたいと思い、本講演を心待ちにしていた次第です。どうぞよろしくお願いします。」
とのご挨拶をいただきました。
 講演会では、原子力安全推進協会 システム基盤部(現、安全基盤部) 安全文化グループ部長 越前 正浩より、『安全に寄与する組織文化、アセスメントの視点と考え方』と題して、講演を行いました。なお、今回はコロナ禍のため、web会議システムを活用したリモート講演とし、熊取事業所内会議室の他、自宅などで合計35名の方が聴講されました。

講演では

 2003年に発生したスペースシャトルの事故は、以下の組織的要因を背景に発生した事故であることが紹介されました。

組織内では、領域や階層を超えて必ずしも意図せぬ影響が波及&もつれ合って思いがけない結果を生み出す。
特に様々な要素が絡み合う複雑な社会技術システムでは不測の相互作用が生じ、大失敗につながりやすい。
そうした中で、NASAを取り巻く政治環境、組織構造・運営方針、管理システムはそれぞれが複雑に作用しあい、事故に結び付く危うい組織文化を生み出した。

 そして、こういった組織事故を防ぐため、
組織自体や周辺環境も含めて対処するのが、安全文化の目的である。
‘組織’ 自体の理解が重要!
複雑化した組織においては、変化を素早く察知・予見し復元する調整・適応能力すなわちレジリエンスが肝要である。
などが紹介されました。

 さらに、組織を正しく理解するためのアセスメントの手法として、JANSIの現場診断の手法と経験が紹介されました。

 最後に、リーダーシップのありようとして、
人々が信頼・尊敬し合い、自由で風通しの良い自発的な関係性を大切にする職場・組織を実現するに尽きる。
“関係性の構築”という基本に着目すると、これは職位に係わらず誰もが発揮すべきリーダーシップ(=周囲への影響力)そのもの。
組織内の立場と力の大きさを考えると、上級管理者の果たすべき責任は特に大きい。

などが紹介されました。

講演会終了後のアンケートでは

これまで「安全文化」という言葉から得られるイメージは、安全第一が徹底された組織であるための文化(組織のマインド、土壌)という現場・現実と温度差がある言葉との認識だったが、組織は複雑怪奇で、揺らぎや不確実性があるのが当然、それを前提としたうえで、そういった現場・現実に対処するための「レジリエンス」の重要性を知り、とても腑に落ちた講演会となった。
今回の講演は、いままで聞いてきた安全文化の説明とは少し違った切り口のお話ではあったものの、とても理解が深まったと思います。
安全を切り口として、組織がどうあるべきか、どう考えていくべきかということについて、テクニック論ではなく、深く考え続けていく機会をいただけたと感じました。

などのご意見・ご感想をいただきました。また、リモート講演については3分の2の方が良いと回答し、不満と感じた方はいませんでした。

以上