平成28年10月12日、青森県大間町にある電源開発株式会社大間原子力建設所において、第162回安全キャラバンを実施し、安全講演会と安全情報交換会を行いました。
大間原子力建設所に従事する所員及び協力会社の職員合わせて81名が参加されました。
JANSIから本安全キャラバンの主旨を説明しました後、組織安全研究所 所長 大久保 元 様から『組織診断インタビューにみられる安全文化の現状と課題~化学プラントの事例を中心に~』と題してご講演いただきました。
◆ある事業所で発生した事故事例では、その教訓の1つに、特に緊急時における「問いかける姿勢の大切さ」がうかがえることが分かった。
◆こうした「問いかける姿勢」を日々養っていくために、ある化学企業では、往々にして形骸化しやすいヒヤリハット活動を、対話型データベースを活用した関係者を巻き込む形に改善し、効果をあげている。また、ある原子力発電所では、基本動作に関するビデオ教材において、はじめに悪い操作・作業例を示し、「なぜその例が悪いのか」について理由を含めて考えさせるような工夫をしている。両方の良好事例に共通するのは、一人ひとりが問いかける姿勢を発揮する機会を作り、環境や仕組みを整備することの重要性である。
◆化学業界では、前述したような事故が近年立て続けに発生したこともあり、民間団体の保安力向上センターが化学会社に対してグループインタビューを基本とした組織診断インタビューを展開している。この中で共通的に出てくる組織の問題としてあげられるのが、「人が足りない」「経験する機会がない」「安易に禁止する」「手順書を使わない」「現場に出られない」「始めたことはやめられない」「自分たちで決められない」「安全優先の閾値がそろわない」「昇進したがらない」「全体が見えない」である。これらに対しては、「必要な資源配分を求める」「オペレータの要件を定める」「計画と実績の違いを明らかにする」「捨てる仕組みを設ける」「目標を高く据える」ということを、対策の共通指針として提示したい。
◆これまでは技術的な部分を中心に設備の予防保全に力を入れてきたが、これからは管理や文化の面まで踏み込んで、組織の予防保全に努めることが非常に重要なのではないかと感じている。
との貴重なお話をいただきました。
●身近な問題と直結していて、大変有意義であった。職場の課題を解決するためのWGのような取り組みが今以上に必要と感じた。
●化学業界も我々と同じ悩み、問題を抱えていることからすると今の日本の全ての部門で抱えている共通的問題と感じました。何とか変えなければいけないと強く思う。
●今後業務を行っていく上でどのようなことに気をつけなければならないか、また、考えていかなければならないか理解できました。
などのご意見・ご感想をいただきました。
午後は、当協会システム基盤部 安全文化グループ 深野 琢也 副部長より「安全文化のより一層の向上と問いかける姿勢について」と題して情報提供があり、引続いて、「大間原子力建設所の安全文化醸成活動」について意見交換を行いました。
参加者は、大間原子力建設所の所員11名が参加されました。
◆体系的な説明は初めてであり、大変参考になりました。今後のGの活動に反映させたいと思います。
◆1年に1回このような機会(安全キャラバン)があると、安全文化醸成活動を見直すきっかけになり良い。
との貴重なお話をいただきました。
以上