平成28年11月21日(月)、11月22日(火)に、JR東日本総合研修センター(福島県白河市)において、第29回体験型安全文化管理者セミナーを開催し,27名の参加がありました。
安全に対する基本的な考え方や鉄道の特性を踏まえた安全確保の考え方等、JR東日本における第一線社員への安全教育について説明がありました。「安全とは、危険でない状態を確保・向上しようとすることによって達成できるもの」という考え方や、人間の特性を踏まえた「自分だけは大丈夫という過信の壁を低くする努力」、「忘却曲線を考えた繰り返し教育」など、原子力安全文化の向上にも通じるヒントが多数ありました。
人間の特性を考えるとその行動は自分のやる気,意識水準,職場環境などに大きく左右されることや、危険感受性が鈍った時には事故が発生しやすくなることなど、具体例を交えた説明がありました。人間の特性上、エラーを防ぐことは極めて難しいが、新人・熟練者・現場第一線・管理者が陥り易いエラーのパターンを自覚することで、事象が起きそうな時や起きてしまった時に、エラーパターンを思い出すことにより、エラーの回避に役立つことを学びました。
電車の運転士が実際に訓練で使用しているシミュレーターを用いて、運転操作を体験しました。運転士が乗務中に行っている指差喚呼の繰り返しが、運行の安全を支えていることを学びました。
電車の運転士が実際に訓練で使用しているシミュレーターを用いて、受講者が列車運転を体験し、運転シミュレーター訓練のポイントを説明して頂きました。
JR東日本では、社員の安全教育の意識付けのために、「事故の歴史展示館」を活用しています。過去の事故事例を学ぶことにより、事故の悲惨さや社会的な影響の大きさなどを体感し、「起こり得ないと思わず、起こってしまったら又は起こらないために自分はどうするか」と捉えることを学びとしました。
事故や緊急事態が発生した際、お客様の迅速な避難を確実に行うための発声、整列、点呼訓練を行いました。また、線路に接近する際に身を守るための、指差喚呼等基本動作訓練を体験しました。
ホームでの安全の取組みについても、ホームの構造や、ホーム非常停止ボタンを押す意味などについての理解を深めることができました。また、ホームからの転落者を救出する訓練を、ダミー人形を使って行いました。線路上の足場の悪さや、転落者は一人では救出できないことが体験できました。
実習用の線路において、対向列車を急停止させる訓練(信号炎管等を用いた列車防護訓練)を行いました。講師から、「多重事故を防ぐために自分しか列車を止められない状況を想定する。自分が列車にひかれたり、信号炎管で火傷していては列車を止められず、お客様を守ることができない。」との心構えが伝えられ、大きな声や身振りで安全確認や信号炎管の操作を、緊張感をもって実施しました。
最後のプログラムとして、「今回のセミナーで参考になったことや学んだことを職場でどの様に活かすか」について、グループワークを行いました。グループ討議や発表・質疑応答を通じて、セミナー内容や職場での活用について、更に情報の共有化や理解を深めることができました。
セミナー後のアンケートでは、次のようなご意見・ご感想を頂きました。
●事故事例に触れて安全の大切さを知ることで、より真剣にセミナーを受けることができ、体験訓練もバランスよく構成された有意義なセミナーでした。
●事故の歴史展示館での写真は、悲惨さや社会的な影響の大きさに非常にインパクトを受けました。事故の教訓からは、2度と同じようなことを発生させない決意や過去から学ぶことを伝承していくことの重要性を感じました。
●安全に対する気持ちを更に向上することができた有意義な研修でした。今後は会社に持ち帰り、学んだことを1つでも2つでも有効に使っていけるようにしたいと思います。
以上
(協力:株式会社JR東日本パーソネルサービス)