活動実績等

第14回安全文化セミナー(基礎編)を実施しました

2021年6月23日(水)、24日(木)の2日間、Webexを利用したリモート方式にて、会員事業所の中間管理職を主な対象とした第14回安全文化セミナーの「基礎編」を17名の方のご参加を得て開催いたしました。
講師には熊本大学名誉教授 吉田道雄氏をお招きし、ワークショップ「組織の活性化と安全文化の確立を目指して ~リーダーシップとコミュニケーションスキルアップ~」をテーマに、講師の情報提供と受講者による職場の課題分析および情報交換が行われました。研修終了時には受講者の方々に職場で実践する行動目標を設定していただきました。これを受けて、受講者の皆さまは、個々の目標を職場で実践していただくことになります。なお、個々の実践状況を受講者同士で報告し合い、目標達成を促進するために、「中間グループワーク」を計画しています。その上で、10月4日(月)、5日(火)に開催される「フォローアップ編」において、その成果を分析し、新たな目標を設定していただくことになります。

1.情報提供

吉田名誉教授によるリモート講義の様子
吉田名誉教授によるリモート講義の様子

「基礎編」では、対人関係の基礎である「コミュニケーション力」を理解し、自らに求められる「リーダーシップ」を探求することを通して、職場において実践する行動目標を設定します。グループワークの前提となる情報提供では、「Group Dynamicsと集団の化学」「対人関係の基礎技術」「Group Dynamicsの実践」などについて情報を提供していただきました。
「安全知識」を「安全意識」へ、さらに職場全員の「行動」につなげることで「安全が実現する」ことなど、豊富な経験に基づいた具体的な事例が紹介されました。

受講者からは、

  • 「安全文化創続とリーダーシップ」で、「管理から経営へ」の中で、「Top Down」と「Ground(Bottom) Up」を水の循環を例にして、リーダーの役割を太陽として、「吸い上げる力」となるとの話は興味を抱きました。
  • 「リーダーシップの公式」が印象に残りました。リーダーシップ力は、なかなか数値化できないと思っておりましたが、「人間力」を向上すれば上がってくることが分かりました。また、フォロワー(部下)が多いと割る数が多くなるので数値は下がりますが、職場で今後リーダーなるであろう部下に今回の講義を話してリーダーシップ力とは何か話してみたいと思います。
  • 分かりやすく、理解がしやすい情報提供でした。特に「変える、変える」やTop Down/Ground Upについてはなるほどと思い、今後は自分の圧力をより軽くしたいと思います。
  • 「安全文化」に関するセミナー受講が初めてであり,リーダーシップや集団力学など関心を持って学ぶことができた。

などの感想をいただきました。

2.情報交換(グループワーク)

ブレイクアウトルーム機能を使ったワークショップの様子
ブレイクアウトルーム機能を
使ったワークショップの様子

受講者は3グループに分かれ、講師による情報提供と合わせて、安全文化醸成に欠かせない、「グループメンバーに自分を知らせるスキル」「安全文化に係わる職場の現状分析」、さらに「リーダーシップ向上のための行動計画策定」について有意義なグループワークが展開されました。

受講者からは、

  • グループワークの場で、お互いが話すタイミングを探ってしまい、スムーズな議論を行うことは、Web形式では難しいと実感した。
  • 普段は他の企業の方と討議をする機会はないため有意義なグループワークでした。とくに同じグループの方の上司の姿勢に係る体験談は、リーダーとしての役割に大いに参考にできると感じました。
  • グループワークは短時間でしたが、いろいろな職種やご経験を知ることができて参考になりました。もう少し長く交流を持っていくと、更に興味深い話が出てきて面白かったのだろうと思っています。(やはり、部下との接し方と同じく、直接話してお互いを知ることが大事ですね)

などのご感想をいただきました。

3.中間グループワーク

参加者と上段右側が吉田先生
参加者と上段右側が吉田先生

基礎編とフォローアップ編の中間にあたる8月27日に、職場でのリーダーシップの実践状況の報告とそれぞれの課題を紹介し、メンバーからのアドバイスやお互いの意見を交換するグループワークを実施しました。

それぞれのグループワークのやり取りを聞いていただいた吉田先生からは、
職域という立場では、その椅子に座っただけで権力というものを部下は感じているものです。それを理解した上で、権力と感じる雰囲気から憧憬の念を抱いてもらう雰囲気になることが重要で、そのためには今回のセミナーの主題であるコミュニケーションのスキルが非常に重要になります。
グループワークでは、「部下の話を肯定するところから始めている」という意見がありましたが、それは非常に重要なことですので今後も続けてください。
また、リーダーは一眼レフカメラのように、いろんなレンズを交換しながらメンバーの行動を異なるアングル、視点から見ていくことが重要です。たとえば、興奮して意見を言ってくる人はなぜそのような状態なのかを複数のレンズを通して見ることで、その背景や理由を理解し、適切な対応ができる可能性も高まるでしょう。

受講者から質問があった悩みを一つ上げると
コロナ禍の影響で思うように部下や周囲とのコミュニケーションが取り難い状況になっている。このような状況でどのようにコミュニケーションをとればよいのかと質問があり、
吉田先生から
「コミュニケーション」や「対人関係」の「質」について、「時間(回数)X深さ」の掛け算で考えることが提唱されました。たとえば、単身赴任になったとき、家族とのコミュニケーションの時間や回数は大きく減少するでしょう。それでも、数少ない機会を逃さず、しっかりと深いコミュニケーションを取ることによって、「積」は大きくなるのです。職場でも同じことが言えます。お互いがかかわる時間や回数が多くても、深さが[0]では望ましいコミュニケーションも対人関係もできません。また、管理職はその立場にいるだけで部下たちに影響を与えるものです。リーダーは、そうした力よりも、「あんな人になりたい」「わたしのモデルだ」と思われる「憧憬パワー」をアップしていただきたい。

とのアドバイスを頂きました。

以上