活動実績等

電力中央研究所エネルギートランスフォーメーション研究本部にて
第183回安全キャラバンを実施

2021(令和3)年9月30日、神奈川県横須賀市にある一般財団法人 電力中央研究所 エネルギートランスフォーメーション研究本部において、Webを利用した安全キャラバン(安全講演会)をおこないました。

1.安全講演会


[ 植田様からのご挨拶 ]
電力中央研究所(横須賀地区)からは79名が安全講演会(Web会議)に出席され、終始熱心に聴講されました。

講演会の冒頭に電力中央研究所 エネルギートランスフォーメーション研究本部長 常務理事 植田伸幸 様から、「電中研では、今年の7月1日に大幅な組織改編」を行って発足した研究本部である。従前の8つの研究所と2つセンターから2つの研究所・センターと3つの研究本部に編成されている。

我々のエネルギートランスフォーメーション研究本部には、従前の原子力技術研究所、火力と燃料電池を中心としたエネルギー技術研究所、これらに係わる材料科学研究所の3つが合体し、ひとつの組織になっている。

以前から安全キャラバンには原子力関係の職員のみが参加していたが、本日は元々の所属が原子力でなかったひとも参加することにしている。
7月1日に大幅な組織改編をおこなってからまだ顕在化はしていないが、「お互いに遠慮をして相手の研究業務における理解不足」があり潜在的なリスクが高まっているように感じている。本日、「安全に寄与する安全文化」について講演いただけるということは、非常にタイムリーでためになる演題であり意義のある講演にしたいと考えている。
以上、よろしくお願いします。とご挨拶がありました。

講演では、


[ 講師 JANSI 深野琢也氏 ]
原子力安全推進協会 安全基盤部 安全文化G 深野琢也氏より、「安全に寄与する組織文化アセスメントの考え方と視点」と題して、

◆安全文化とは何か
◆組織改革の良好事例 
◆アセスメントのアプローチと意義

などについてチェルノブイリ事故、スペースシャトルコロンビア号などの事故の経緯やポイントを示しながら、安全文化の目的や本質を普段の仕事や職場に即して皆様にイメージして頂くことを目的に講演を行いました。

講演の要旨は以下の通りです。

・複雑にもつれ合う現実世界では、些細な不確実性(=揺らぎ)も予期せぬ重大な事故につながることがあります。揺らぎを全て排除するのは無理なので、組織が大きな過ちを防ぐには、危険な揺らぎを早いうちに察知してレジリエンス(= 本来の姿に戻す復元力)を働かせることが肝心です。

・それには情報を広く速やかに共有し、集合体としての認識・予測・対応(= 学習)能力を高める必要があります。しかし、実際にはしばしば組織自身のありよう(= 組織文化・体質或いはマインド)が誰も意識できない形で人々の発想や選択を方向付け、視野を限定してしまいます。つまり、人を大切にし、信頼と敬意で結ばれた開かれた組織でないと、組織の学習能力は歪み、ひいてはレジリエンスが働かないおそれがあるのです。

・安全文化とは特別な何かではなく、組織の本来あるべき健全なありように他なりません。自らのありようを正しく認識することが前提であり、批判的・客観的な視点からの組織文化アセスメントは、貴重な学びの機会です。

・上述したことは、御社の掲げるビジョンの実現に向け、戦略を策定し実践・組織学習をすることについても同様です。すなわち、組織(文化)のありようをシステミックに把握し、必要な変革と通じて健全な組織(文化)を醸成し続けることが重要です。組織のリーダーは組織文化の形成に決定的な影響力を及ぼす立場にあるため、こうしたことを率先して理解・体現・主導することが望まれます。

講演会終了後のアンケートでは、

実例を基に、そのエッセンスを端的に講演いただき、重要だと思っても忙しくてなかなか時間を割けずにいたことを勉強できて大変よかったです。
実例が有意義なこともさることながら、お話自体が面白くて聞きやすいと感じました。
このような重要な講演については、やはり生で熱量が伝わるように聞きたい。

などの感想を頂きました。

以上