活動実績等

東芝エネルギーシステムズ株式会社
第182回安全キャラバンを実施

2021(令和3)年1月27日、神奈川県川崎市にある東芝エネルギーシステムズ株式会社において、Webを利用した安全キャラバン(安全講演会)をおこないました。

1.安全講演会

東芝エネルギーシステムズ株式会社からは240名が安全講演会(Web会議)に出席され、終始熱心に聴講されました。

講演会の冒頭に東芝エネルギーシステムズ株式会社 原子力技師長 薄井 秀和 様から、「ご多忙の中、ご講演いただきありがとうございます。本日は『安全に寄与する組織文化、アセスメントの考え方と視点』という講演で、東芝ESS社の原子力事業従事者の安全意識の徹底や安全意識の更なる向上に繋がるものと考えております。我々、東芝ESSでも、原子力安全にかかわる声明というものをHPで公表しておりますが、要点としては2つあります。
当社は、批判的な思考力を持ち、あらゆるリスクに真摯に向き合い、原子力安全が全てに優先されるという原子力安全文化を醸成してまいります。
また、当社原子力事業に関係する社内外のステークホルダーと透明性・適時性あるコミュニケーションを図ることにより、原子力安全に係るリスク認識及び課題を共有し、事業活動に反映していきます。(下線部はHP参照)
私の考える安全文化というものは、安全を最優先する組織風土であって、組織、個人の姿勢、特性そのものと思います。要は、各人の基本動作の中に根付いていかなければいけない。ところが、人間はミスをするものでありまして、そういった前提に立って、安全を最優先する姿勢を常態化するため、繰り返して学習する機会を設けることは非常に重要であると考えます。本日の『原子力安全に寄与する組織文化』と『アセスメントの考え方と視点』についてのお話をお聞きして、我々の意識や姿勢の維持、向上を目指してまいりたいと思います。本日はどうぞよろしくお願いいたします。」と、ご挨拶がありました。

講演では
原子力安全推進協会 安全基盤部 安全文化G 越前 正浩 氏より、
「安全に寄与する組織文化 アセスメントの考え方と視点」と題して、安全文化にまつわる対照的な事例の紹介やアセスメントのアプローチを通して、安全文化の目的や本質を普段の仕事や職場に即してイメージして頂く事を目的としております。
チェルノブイリ事故から約35年、安全文化はいまや常識のように語られておりますが,安全文化を何か特別なものだと思い込んでいる人も多いのではないでしょうか。いつの間にか真の安全文化から遠ざかってしまわぬよう,今こそ原点に戻って、その本当の意味を見つめ直すことが重要です。

講演の要旨は以下の通りです。
  • 複雑にもつれ合う現実世界では、些細な不確実性(=揺らぎ)も予期せぬ重大な事故につながることがあります。揺らぎを全て排除するのは無理なので、組織が大きな過ちを防ぐには、危険な揺らぎを早いうちに察知してレジリエンス(= 本来の姿に戻す復元力)を働かせることが肝心です。
  • それには情報を広く速やかに共有し、集合体としての認識・予測・対応(= 学習)能力を高める必要があります。しかし、実際にはしばしば組織自身のありよう(= 組織文化・体質或いはマインド)が誰も意識できない形で人々の発想や選択を方向付け、視野を限定してしまいます。つまり、人を大切にし信頼と敬意で結ばれた開かれた組織でないと、組織の学習能力は歪み、ひいてはレジリエンスが働かないおそれがあるのです。
  • 安全文化とは特別な何かではなく、組織の本来あるべき健全なありように他なりません。自らのありようを正しく認識することが前提であり、批判的・客観的な視点からの組織文化アセスメントは、貴重な学びの機会です。
  • 組織のリーダーは組織文化の形成に決定的な影響力を及ぼす立場にあるので、こうしたことを率先して理解・体現・主導することが望まれます。

講演会終了後のアンケートでは

◆いくら良いシステムが出来て居ても人間が介在する限りエラーが起こる。組織の体質や文化を高いレベルに上げるには、人間同士の信頼関係、目指すゴールの共有などを醸成していくことが大事であることを理解した。

◆今回の講演につきまして、非常に参考になりました。高負荷の中でどう上手くリソースを充当して成果を達成していくか難しい課題ですが、良く議論し合いながら進めようと思いました。

◆コロナ禍にもかかわらず、このような講演をオンラインで安全に聞くことができ、とても有難かったです。

◆基本行動が何より大切であり、それを日々実践し、人との接点(コミュニケーション)も大切にして行くことの重要性を改めて実感しました。ありがとうございました。

などのご意見・ご感想をいただきました。

以上