活動実績等

三菱原子燃料株式会社、ニュークリア・デベロップメント株式会社にて
第172回安全キャラバンを実施

平成30年8月27日、茨城県那珂郡東海村の三菱原子燃料株式会社 東海工場において、第172回安全キャラバンを実施し、安全講演会と安全情報交換会を行いました。

1.安全講演会

三菱原子燃料(株)、ニュークリア・デペロップメント(株)の社員等85名が出席され、終始熱心に聴講されました。

講演会の冒頭、三菱原子燃料(株)代表取締役社長 梅田 賢治 様から、「本日は、原子力安全推進協会の皆様、早稲田大学教授の小松原先生に、お忙しい中お越しいただき、誠にありがとうございます。

当社の状況ですが、国の新規制基準への適合確認を受けるために、原子力規制委員会へ事業変更許可申請を行い、昨年11月に事業許可を取得しております。現在は、弊社加工施設を事業許可に合致させるための具体的な手続きとして各種安全対策の設計及び工事の認可申請を段階的に進めているところでございます。本日は演題としまして、「ヒューマンファクターの基礎知識」ということで、我々原子力事業者にとっては、非常に重要で、有意義な内容であると考えておりまして、興味深く聞かせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。」
とのご挨拶をいただきました。

講演会では、早稲田大学 理工学術院教授 小松原 明哲 様から「ヒューマンファクターの基礎知識 -エラー防止と現場力向上のために-」と題してご講演いただきました。

講演では、

◆電力業界、医療現場、航空業界など、どのような業界においても、社会に約束したサービスを安定的に提供し続けることが重要であり、そのためには安全を徹底的に追求することが必要である。安定したサービス提供を阻害させる要因には、ヒューマンファクター、機器故障、悪意ある第三者等があり、企業においては、それら安全阻害要因を常に把握・先取りし手を打っていくことが必要である。
◆いかに人が専門的な知識やスキルを持っていても、仕事をする際にはエラーが生じえる。そこでエラーを撲滅するための仕組みや手続きをつくり、それに従い実践していくことが必要。一方で、様々な安全阻害要因はいつ何時生じえるかは分からない。そこで、それらへの気づきや、適切なコミュニケーションで状況を共有すること、対応することが必要になる。いわば現場力で乗り切るということである。
◆ヒューマンエラーが起こらないようにするためには、業務環境において「やりにくい」ものを見つけ改善すること、手順やマニュアルを整備し周知徹底することが必要である。また、マニュアルを定めても守られない場合には「知らない」「できない」「やる気がない」の3つの可能性があり、これらの壁を打破する対策をとることも必要である。
◆現場力ということは、まずは作業スタッフの気づき力を向上することが必要。気づいたのなら、適切なコミュニケーションで、それを共有することがポイントになる。そうした気づきやコミュニケーションのスキルを高める対応をとる必要がある。
◆繁忙、疲れ、職場の悪い雰囲気といった黒幕が存在していると、エラーは多発し、現場力も発揮されないことがある。黒幕に対しては現場で対処できない場合も多い。トップや管理者が、現場に無理をさせていないか、目配りをする必要がある。
との貴重なお話をいただきました。

講演会の終了にあたり、ニュークリア・デベロップメント(株) 取締役社長 山内 純一 様から、
「貴重なご講演をいただきましてありがとうございました。本日先生からいただいたお話の中には、我々の活動にとって必要な情報が色々とちりばめられており、今回の講演内容を社内に持ち帰り、我々の活動に反映できることは是非取り入れていきたいと思っております。特に、先ほどお話しがありましたが「にくい」の活動も、普段の活動を、少し見方を変えて実施することで、社員の意見を吸い上げやすくなるなど、有効なものになると思っております。今後ともどうかご支援のほど、よろしくお願いいたします。」
との謝辞をいただきました。


講演会に対する終了後のアンケートでは、

非常に面白く聞けたのでもう少し長くても良かったと思う。
「~にくい」をなくす活動は是非社内展開したいと思う。
次回は現場の人を対象に講演をして頂けると有難い。

などのご意見・ご感想をいただきました。


2.安全情報交換会

はじめに、ヒューマンエラー防止活動に係る三菱原子燃料(株)、ニュークリア・デベロップメント(株)の現在の取組み状況について紹介があり、意見交換を実施しました。
参加者からは、ヒューマンエラーを含む不適合の対策、リーダーシップやコミュニケーション、問いかける姿勢など自分が悩んでいること、課題に思っていること、あるいは対策を講じているがなかなか成果が上がらないことなどについて質問があり、その内容について参加者、小松原先生、JANSIで意見交換を行いました。

以上