活動実績等

北海道電力株式会社 泊発電所にて第169回安全キャラバンを実施

平成29年12月21日、北海道古宇郡の北海道電力株式会社 泊発電所において、第169回安全キャラバンを実施し、安全講演会と安全情報交換会を行いました。

1.安全講演会

北海道電力(株)の社員、協力会社社員等125名が出席され、終始熱心に聴講されました。

講演会の冒頭、北海道電力㈱ 泊発電所長 舟根 俊一 様から、
「おはようございます。ご講演に先立ちまして、私から一言ご挨拶させていただきます。本日は、年末のきわめてご多忙の中、また非常に厳しい寒さの中、熊本から泊発電所までお越しいただき、『安全文化創続とコミュニケーション -組織における対人関係のインフラ創り-』というタイトルでご講演いただけますことに、深く感謝申し上げます。

私どもは泊発電所の再稼働に向けて、発電所の安全性向上に日々精進しているところでございます。これをより実効性あるものとするためには、泊発電所の安全文化をより強固なものとしていくことが、まずなによりも大切だと考えているところでございます。JANSIさんが掲げていらっしゃる安全文化の7原則の中にも、コミュニケーションに関連する原則として『自由にものが言え活気と創造力のある職場であること』、それから『ステークホルダーとの間で円滑なコミュニケーションがなされていること』という2つが掲げられています。私どももこの7原則に沿う形で、安全文化の礎をしっかりと築き上げていくためにも、泊発電所の運営に関わっていただいている社員約600名、協力会社の社員の方約1300名の方がいらっしゃいますが、そのお一人お一人の多様な考え方を大事にして、十分なコミュニケーションを取り合って、互いに信頼関係を深めて、自由にものが言える職場環境の醸成を図ることを目指して現在取り組んでいるところでございます。なかなか、言うは易し成すは難し、の部分がございますが、本日ご講演いただく内容から我々の取り組みに大きな示唆をいただければ非常にありがたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。」
とのご挨拶をいただきました。

講演会では、熊本大学 名誉教授・教職大学院シニア教授 吉田 道雄 様 から「安全文化創続とコミュニケーション-組織における対人関係のインフラ創り-」と題してご講演いただきました。

◆今日のテーマ「安全文化創続とコミュニケーション-組織における対人関係のインフラ創り-」にある「創続」という言葉は「安全文化は醸成して終わりではなく、創り続けないといけない」という思いからつくった私の造語である。安全文化を創続していくために、組織における対人関係のインフラを創っていくことが重要である。
◆私が専門にしているグループ・ダイナミックス(集団力学)という領域は、「集団との関わりを通して人間を理解する」「集団における人間行動の法則を探して、それを実践に活かす」ことが研究テーマとなる。人間は常に集団との関係で生きているため、その集団との関わりとの中で何が起きるのかを調査し、少しでも役に立つ結果が得られればそれを実践に移すのである。そうした知見を得るために、皆さんには人間ウォッチングの実践をお勧めしたい。人間ウォッチングとは、「人間行動をしっかりと観る」「事実を冷静に受け止める」「できるだけ感情的にならない」「事実が起きた原因をできるだけ客観的に追求する」ということである。ごく些細な小さな気づきであっても、「それで?」「どうして?」と聞きあうことを基本とすることで、様々な人間行動の法則を発見できるし、それを仕事の中で十分に活かすこともできる。
◆人間は誰しもワンパターンの行動をするわけではなく、人と人との結びつきや関係性によって、様々な行動があらわれてくる。人と人との組み合わせや、その時々の状況によってもコミュニケーションの伝わり方が変わってくる。また、コミュニケーションの場では、Changeの気持ちを互いに言えるかどうか、そしてそれを実践できるかどうかが鍵である。大きなことを変えてしまうと元に戻すことは難しいが、小さなことを少しだけ変えてみて、ダメならすぐにもとに戻せば良い。つまりは「朝令暮改」の精神で、コミュニケーションについても「変える」という気持ちをベースに持っていただきたい。
◆コミュニケーションにおいては、伝える側が正しく言葉で伝えていたとしても、受け止める側の要因できちんと伝わらないことがあるし、また、その逆もある。さらには、両方の側に問題がある場合もある。こういう場合は、互いにストレートに「わかる」「わからない」を言い合える関係性をつくることが大事であり、「コミュニケーションのインフラ」につながる。「コミュニケーションのインフラ」とは「事実を伝えるだけでなく、それを伝えるための関係性=インフラがなければ、どんなに真実を伝えても伝わらない」という意味で使用している。
◆リーダーとフォロワーの関係でも、基本はリーダーがフォロワーシップをきちんと引き出し受け止めなければならないが、一方のフォロワーもリーダーの働きかけをきちんと受け止め理解をする努力をしなければならない。これは互いに回すことが必要なサイクルなのである。
との貴重なお話をいただきました。

講演会終了後のアンケートでは、
◇自己満足力、朝令暮改スピリットという言葉が、これまで全く意識したことがなく新鮮で印象に残りました。
◇リーダーシップとフォロワーシップの関係性が大変良く理解できました。
◇「言葉だけでは正しく伝わらない」「通じないのは関係が悪いから」を改めて実感する機会となりました。

などのご意見・ご感想をいただきました。

2.安全情報交換会

安全情報交換会参加者に、「リーダーシップについての職場の問題点」について事前に検討していただき、ホスト側事務局で意見を集約した資料を使用し、代表的な内容を取り上げて議論しました。
参加者が、現場の状況と自分が悩んでいること、課題に思っていること、あるいは対策を講じているのだがなかなか成果が上がらないことについて、具体的に紹介し、その内容について、参加者、吉田先生、JANSIで意見交換を行いました。



以上