活動実績等

リサイクル燃料貯蔵(株)本社にて第167回安全キャラバンを実施

平成29年9月28、29日、青森県むつ市にあるリサイクル燃料貯蔵(株)本社において、第167回安全キャラバンを実施し、安全講演会及び安全情報交換会を開催しました。

1.安全講演会

講演会では、原子力安全推進協会 システム基盤部 安全文化グループ部長の越前正浩から「安全文化とは?」と題して講演を致しました。
この講演会には、リサイクル燃料貯蔵(株)の社員、協力会社社員等79名が出席され、終始熱心に聴講されました。

講演では、

◆安全文化とは、個人やチームのエラーやミスだけでは片づけられない、組織に潜む欠陥がもつれ合い・相乗的に拡大して発生する組織事故を防ぐために、組織の文化をどのように保つべきか、ということです。 組織事故は、誰もが知っているチェルノブイリ事故以外にも、古今東西、さまざまな領域で繰り返し発生しています。組織事故を防ごうとするためには、組織が様々な事象に適応すべくどういう挙動を示すか等、組織文化の特徴と安全との関係に注目して深く学ばなくてはなりません。
◆組織が安全確保を含むきちんとしたパフォーマンスを保つためには、次のようなことを良く理解しておく必要があります。
◆組織文化は本音と建前の二層構造でできており、両方がバランスして健全に機能していないといけません。この本音の部分にある個人や組織間の関係性を司る基本ルールこそが組織文化の根源であり、日頃そうした関係性が繰り返されることで現れてくる思考・行動のパターンが組織文化だと理解できます。さらに、世間や株主など組織を取り巻く上部構造との相互作用による影響も無視するわけにはいきません。こうした関係性が不健全な状態に陥ると、組織は正しい判断と行動ができなくなり、安全を含むパフォーマンスが気付かぬうちに劣化してしまいます。
◆組織文化は二面性があり、一つは、環境の変化に対応して無意識に適応していく性質です。もう一つは、表面的な変化を拒み、慣れ親しんだ固有のパターンに回帰する性質です。 また、組織には個人とは異なる特徴があり、集団主義、フレーミング効果、グループシンキング、権威主義、傍観者効果等として知られている固有の弱点もあります。こうした特徴を理解していないと、組織が思いがけずその目標と責任を果たすうえで好ましくない状態に陥るリスクがあります。
◆安全とは、許容できないリスクが存在しない状態のことです。そうしたパフォーマンスを支えるため、組織は個々のリスクに対する防波堤を持っていますが、偶発的な重なりで突破されてしまうことがあり、個々の防波堤だけを見ていても事故を100%防ぐことはできません。危険なゆらぎをいち早く察知して望ましい状態に復元する組織としての学習の力が重要です。こうした考え方は、近年ではレジリエンスやSafety-Ⅱという言葉で語られていますが、私たちの先輩が繰り返し説いていた深層防護の思想そのものとも言えます。
◆安全文化と言うと特別なことに聞こえますが、実は、ここで言う安全についての学習を支える組織の文化そのもののことなのです。 このことをよく理解して頂きたいと思います。
◆今回は、そうした組織文化を醸成するうえでの具体的な事例として、サンタフェというアメリカの原子力潜水艦の事例をご紹介します。元々大変な悪評のあるパフォーマンスの低い艦でしたが、新たに着任した艦長によって組織の関係性が改革され、それによって乗員が自発的に学習し、行動する素晴らしい組織文化の艦に変身したという事例です。
◆最後に、安全文化を望ましい状態に保つには、まずそのありようを正しく捉える力が必要です。そのためには、組織全体として可能な限りご自身を批判的な目で見ることができるよう努めることが重要なことをご理解頂きたいと思います。第三者の目から見た組織のありようと自らの見方を比較することで、自分自身の認知フィルターや固定観念、組織文化の弱みがよりきちんと見えてきます。簡単なことではありませんが、組織事故を引き起こさないために、誰もがやっていかなければならないことなのです。
とのお話をさせていただきました。

講演会終了後のアンケートでは、

自社で組織事故を起こさないためには、他社の事例を他人事と思わず、自らの業務に置き換え行動していくことが大切だと思った。
安全文化は漠然となり易く、具体的なイメージを掴み難いが、今日の講演は興味深いものであり理解する事ができた。
所属部署の組織文化を高める方法について、考える機会となった。

などのご意見・ご感想をいただきました。


2.安全情報交換会

9月28日には、「職場のありようを見てみよう!」 をテーマに、職場の一般職の皆様を対象にグループワークを実施しました。また、9月29日には、管理職の皆様、幹部の皆様の2つのグループに分かれて、安全文化に関する意見交換を行いました。


以上