活動実績等

(株)IHIにて第160回安全キャラバンを実施

平成28年4月19日、神奈川県横浜市の(株)IHIにおいて、第160回安全キャラバンを実施し、安全講演会とRCA研修会を行いました。

1.安全講演会

(株)IHIの社員、協力会社社員等91名が出席されました。

講演会の冒頭、(株)IHI原子力セクター 副セクター長 桑田 知之 様から、 「皆さん、おはようございます。本日は、原子力安全文化のうち「問いかける姿勢」についてお話をしていただきます。この経緯として、2014年にピアレビューを受けさせていただき、IHIとしてはまず不適合管理プロセスが十分に機能していない面があること、それから不適合のレッスン・ラーンドが十分に展開できていない面があること、という2つの指摘を受け、その根本原因として潜在リスクが皆にどのように認識されているかという問題が提起されました。そこで、今回お話していただく「問いかける姿勢」という形で今後考えていこうということになりました。原子力事業に携わる者としては、やはり安全文化に起因するリスクというのは、ないことが望ましいですが、どんな統計を見ても100%防ぐということは難しいものです。逆に日々の皆さんの業務の中で、大小はあれど品質上のトラブルに悩まされている面があると思います。やはり、こうしたところは根底の部分で真正面から向き合っていただいて、本日の講演内容を聞いていただき、皆さんがお仕事に戻ったときにどういったことができるのか?というところを考えていただくきっかけにしていただきたいと思います。 システムで全て保証すると、ルールだらけになってしまい、非常に窮屈な世界になります。そういう意味では、人間系に依存していると皆さんはある程度居心地が良い。しかしながら人間系ですべてコントロールすることはできません。人間系でコントロールする前提として、皆さん自身が「問いかける姿勢」を内部に持っていなければ、ガチガチのシステムで保障せざるを得なくなり、皆さんの居心地が悪くなってしまいます。居心地の悪い組織にしないよう、「問いかける姿勢」を身につけていただき、日々の業務に励んでいただければと思います。」

とのご挨拶をいただきました。

ご挨拶の後、(株)ジェック 越膳 哲哉 様から「『常に問いかける姿勢』を考える」 と題してご講演いただきました。


講演では、

◆人間はミスをする生き物である。我々は様々な状況(環境・他人・モノ)の中で、様々な知識や技術を学び(入力・記憶)、その知識や情報をもとに判断というフィルターを通して行動する。この判断というフィルターは、自分の中で当たり前に染みついてしまっている固定観念や思い込み、先入観から影響を受けており、それをもとに我々は行動しているため、時としてミスが発生する。このメカニズムの中で、入力ミス(外から情報を取り入れる時点で間違っている)、記憶ミス(倉庫に入っているものが間違っている=書き換えられる)、判断ミス(状況判断が間違っている)、行動ミス(選択した行動が間違っている)といった大きく分けて4つのミスが発生する。
◆そして、このようなミスは、固定観念や先入観が強く「常に問いかける姿勢」が損なわれたために発生することがある。「常に問いかける姿勢」を阻害するものとして、1つ目は、あるべき姿そのものがない、もしくはあいまいということである。2つ目は、あるべき姿はあるが、それに対して納得していない状態(不納得感)である。あるいは、不納得までいかなくとも「なぜそうなっているのか」ということの理解が不十分な場合もある。3つ目は、あるべき姿を人に要求できない状態である。自分が納得していない場合にはそれを他の人に要求できない、ということがある。4つ目は、あるべき姿が当たり前になると生まれる油断である。すなわち、あるべき姿と現状のギャップが問題となるのである。
◆常に問いかける姿勢に不可欠なのは、「常に一段高いあるべき姿を共通目標にすること」であり、自分ひとりだけではなく一緒に働く人たちの意識を共通目標に変えていくことが重要である。それから「自分のミスの傾向を定期的にチェックすること」も重要である。4つのミスを無くすために、自分自身のミスの傾向をある程度定期的にセルフチェックあるいは相互チェックし続けることが、問いかける姿勢には不可欠なのである。また、自分と違う固定観念を持っている人と本音の対話をすることで、「そうはいっても」という意識がわく瞬間が、自分の固定観念を発見するチャンスである。自分の中にある固定観念や先入観のチェックを、一緒に働く人たちとともに継続的に実践していただきたい。

との貴重なお話をいただきました。

講演会終了後のアンケートでは、

問いかける姿勢の維持に関して個人として考える機会になった。以降自分としては自分のチームのメンバー各自が常に同じ意識を持ち、維持できる為にはどうすべきか考えたいと思う。
常に問いかける姿勢の方法や考えの方法等、今後の仕事・業務へ生かすきっかけを頂いた。非常に有益な講演でした。業務に生かしたいと思います。
ミスを無くすため、思い込み・先入観・固定観念に疑いを持つことの重要さを改めて認識でき有意義であった。
自己の反省を含めて大変参考になりました。固定概念を取り外して行動の見直しの必要性を認識させていただきました。
常日頃、意識できていなかった目標地点と現状を振り返るということを意識付ける良い機会になった。

などのご意見・ご感想をいただきました。


2.RCA研修会

RCA研修会は、RCA導入研修の簡易版として開催いたしました。東京電力ホールディングス(株)古濱 寛 様を講師にお迎えし、分析手法「SAFER」の紹介後、参加者の方々に仮想事例を用いた背後要因図の作成(演習)を行っていただき、最後にグループ代表による結果の紹介と意見交換を行いました。













以上