活動実績等

三菱重工業(株) 神戸造船所にて第152回安全キャラバンを実施

平成27年2月10日、神戸市兵庫区にある三菱重工業(株) 神戸造船所において、第152回安全キャラバンを実施し、安全講演会と安全情報交換会を行いました。

1.安全講演会

三菱重工業(株) 神戸造船所の原子力関係部署の部長、次長クラスの 28名が出席されました。

講演会の冒頭、エネルギー・環境ドメイン 品質保証総括部原子力安全・品質監査部 部長 浅田 義浩 様から、
「みなさま、ご安全に。本日は安全キャラバンということで、午前中に吉田先生にご講演いただく。 題目は『コミュニケーションと対人関係スキル -言いたいことが言える職場環境風土づくり-』ということで、まさに我々が各職場で抱えている悩みについて、非常に参考になるご講演がいただけるのではないかと思っている。
 そして午後からは我々の安全文化醸成活動を紹介させていただき、それについての議論をさせていただきたいと思っている。原子力事業部のなかでも安全文化醸成活動は、始めてからそれほど時間も経っていないということで、安全文化醸成活動は継続して永遠にやっていかなければならない課題だと思っている。
 今日の講演会と討議を踏まえて、我々の活動がさらに改善されていくことを願っているので、ぜひ意見交換のなかでは、闊達な討議をお願いしたい。」

とのご挨拶をいただきました。

ご挨拶の後、熊本大学名誉教授・シニア教授 吉田 道雄 様から『コミュニケーションと対人関係スキル -言いたいことが言える職場環境風土づくり-』と題してご講演いただきました。

講演では、

◆まずは、「言いたいことが言える職場環境づくりを語るに当たって」、西鉄バスと、三菱重工・長崎造船所における事故防止の研究を紹介しておきたい。これは私が専攻する「グループダイナミックス(集団力学」」で行われた一大プロジェクトで、私の恩師の三隅二不二教授がリーダーシップをとったものである。西鉄バスでは事故を起こした運転手を集めて行ったディスカッションと意思決定によって研修前後10ヶ月間で70件の事故が14件にまで減少した。また長崎造船所では作業長のリーダーシップのトレーニングと全員参画による活動で事故を削減するとともに、マイプラント意識やコスト意識も向上した。これらは「言いたいことが言える」職場環境を作ることで事故防止が実現したのである。

◆私は、コミュニケーションは人間関係という「インフラ」が大事だと考えている。相手に伝えるべき情報の80%しか言えていない場合、20%は情報不足なのだが、相手との関係がいいと、不足している分を補って聞いてくれる。しかし関係が悪いと120%の情報量でも、80%や50%しか伝わらない。それどころか、真意とは正反対に誤解されたりもする。そうならないために何でも言える職場をつくることが大事で、そのためには、リーダーが小さいことに気づいて褒め、評価することが重要である。小さなことを評価することが大きな「インフラ」づくりに繋がる。そして褒められた方も褒めたリーダーを尊敬し、自分たちも責任のある立場になったらああなりたい、というプラスの関係ができる。褒めた内容だけではなく、褒める行為そのものがプラスに働く。職場にそうした関係を作っていることが大切で、それが「言いにくいことでも言ってみようという」気持ちを生み出す。

◆私は、職場環境を変えるために、「PHS」を提案している。Pは、「Peace」。Hは、「Happiness」と「Health」、そしてSが、「Safety」と「Smile」である。これを職場の中でどう実現していくかが大切なポイントになる。ひとり一人がPHSを高め、職場全体のPHSを確立することを目指していただきたい。また、何でも言える雰囲気づくりには、リーダーシップの役割が重要になる。水は上から下に流れるという考え方はトップダウンであるが、水は低き大地からも上に流れる(上昇する)。そこで、「ボトムアップ」に替えて「グラウンドアップ」にすべきだというのが私の提案である。三菱重工・長崎造船所の成功例が示しているように、変わろうと思えば変わることができる。

◆リーダーは「カリスマ」ではなく、「ミニカリスマ」であって欲しい。「ミニカリスマ」は、自分の失敗体験を語れる人である。失敗をするのはチャレンジしているからであり、それをうまく乗り越えられる人であって欲しい。そして、自分をモデルとして提示しながら、「言いたいことが言える」職場環境づくりを目指していただきたい。

との貴重なお話をいただきました。

講演会終了後のアンケートでは、

グループダイナミックス、コミュニケーションのインフラ、PHS等わかりやすい例で、部下とのコミュニケーション力を上げるためのキーポイントを教えていただいたと思います。特に「 コミュニケーションのインフラ造り = 部下との信頼関係の構築」 が重要であると感じました。今後の組織づくりや部下との対話時に活用したいと思います。ありがとうございました。

小さいことを褒めてあげること、またそれが伝えられる関係であること、小さな改善の積み上げが大きな改革につながることなど、自身の経験でも同意できる内容の多い講演でした。“しかり方”を質問させていただきましたが、ご意見を参考に今後の指導に役立てていきます。

言いたいことが言える職場づくりは、直ぐに構築できるものではなく、上司・部下をはじめ、それぞれ各人が相手を尊重し、壁を超える努力をし続けることがポイントであるというところに共感を覚えました。

とても楽しく、役に立つお話しをしていただいたと感じています。私自身、普段から管理者として心掛けていることを理論的にご説明していただき、自分の行為・心掛けに自信を持つことができ、大変嬉しく思っています。今後も風通しの良い職場づくりに向けて活動していきたいと思っています。

身近なテーマでわかりやすく事例を出して説明されたため、とても分かりやすかった。グループダイナミックスの解説では、集団力の効果や対人関係のあり方など、改めて認識することが出来た。マネージャーとして、組織内品質保証があってこそ製品・サービスの質の向上が達成できることを意識して業務を行いたい。

などのご意見・ご感想をいただきました。

2.安全情報交換会

安全情報交換会では、三菱重工業(株)からご要望のあった「安全文化醸成活動について」をテーマに、三菱重工業(株)の安全文化醸成活動の取り組み、安全文化の評価方法について意見交換を行いました。

以上