活動実績等

東京電力㈱柏崎刈羽原子力発電所にて第136回安全キャラバンを実施

平成25年2月18日、東京電力株式会社柏崎刈羽原子力発電所において、第136回安全キャラバンを実施し、安全講演会と安全情報交換会を行いました。

1.安全講演会

 柏崎刈羽原子力発電所に従事する東京電力及び協力会社の方々を中心に約520名の方にご出席いただき、独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 シニアフェロー 宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 教授 川口 淳一郎 様から「“はやぶさ”が挑んだ人類初の往復の宇宙飛行、その7年間の歩み」と題してご講演いただきました。

講演では

◆今年はほうき星がふたつ来るが、ほうき星はほとんどが二度と戻ってはこない。数年に一度、それも1回しか来ない星が、ふたつも地球のそばを通っていくので当たり年といえる。地球は小惑星が集まってできたものだが、こうした宇宙の営みはいまだ続いているということだ。 ◆今、宇宙へ行くためにはロケットだと考えている人が多いが、今に時代が変わり、ロケットのような宇宙機と飛行機の境界がなくなる時代が来る。30年くらい先の話だが、誰しもが宇宙飛行できる時代になる。高度3万メートル、4万メートルを音速の5倍、10倍という速さで移動する超高速の輸送機が完成し、太平洋を2時間で渡るような輸送機ができあがる。
◆私のミッション、「はやぶさ」プロジェクトは1996年から行っているので、もう20年近く前になる。プロジェクトを立ち上げて、それを実現でき、そして次の世代に新しいプロジェクトを残していけたことに感謝している。
◆「はやぶさ」はカプセルの中に惑星・イトカワの砂粒を入れて帰還したが、このプロジェクトは、科学目的ではなく、技術実証を目的に始めたものだ。こうして期待以上の大きな成果を得られたことは、本当に素晴らしいことだと思う。
◆「はやぶさ」を通じて、幾つかの失敗を経験したが、これこそが人材育成に通じると思っている。つまり失敗経験を重ねると教訓は身に付くが、重ねていくと時にトラウマを残してしまう。では、成功を経験させていればいいのか、というと、それでは教訓が身に付かない。この矛盾を解消することが、人材育成のポイントであろうと思う。そのためには先輩と後輩、2代目と1代目が共同作業をして、人生や経験、教訓を伝承すべきだと思っている。
◆アメリカはイノベーションを生み続けている一方で日本は閉塞している。日本も創造性を評価できる社会へと変わっていかなければいけないと思う。
かつて、日本は製造の国だった。低廉な労働力で、品質のよい製品を供給することに競争力を得ていた。しかしそれは過去のこと。バブルが崩壊して以来、空白が起きたのも当然の帰結で、それは「製造の国」から「創造の国」に脱皮できなかったからだと思う。
◆私たちはイノベーションで創造する国に変わり、新しい技術や製品をつくっていく、違う国として変わっていかなくてはならないと考えている。
そのためにも若い人、子供たちには未来を見続けて欲しい。やれる理由を見つけて挑戦する、それで1歩でも高いところに登れたら、水平線はその分だけ確実に広がる。今まで水平線の向こうにあった、見えていなかった未来が、まだ来ぬものが見えてくる。
若い人の挑戦、そしてそれを継続することこそが、日本が復活する大きな原動力になる。
  との貴重なお話をいただきました。

 川口教授のご講演の後、 東京電力株式会社 柏崎刈羽原子力発電所長 横村 忠幸 様から、次のようなお礼のご挨拶をいただきました。

 川口先生のご講演を伺い、「なるほど」と思えることがたくさんありました。 今、発電所は明るい展望を失っている状況ではありますが、明るい展望は待っているのではなく、「はやぶさ」のように自分たちで作るものではないでしょうか。
今まさにわれわれは変革改善に取り組んでいます。どうすれば安全文化の浸透を図れるか、あるいはどうすれば世界一のパフォーマンスを発揮できるか、今一度変革改善というものをみんなで考え、その専門家になろうではないかということに、取り組んでいるわけです。
先生のお話はやはり「はやぶさ」という現場があって、そのプロジェクトを成功させるために、ご苦労され、今日の先生のお話があることも、われわれ現場人が大変共鳴できるところだったと思います。 私たちも、現場が設備を維持しての発電所という原点に立ち戻ろうと、今まさに大きく変わろうとしています。こういったときに「はやぶさ」が乗り越えた数々の苦労をお聞きして、改めて今意を強くしています。
みなさんも今日の先生のお話を、ぜひ自分なりに、自分の職場に展開し実践していただきたいと思います。
その機会をいただいた先生に心より感謝を申し上げます。

講演会終了後のアンケートでは、

貴重なお話を聞けてよかった。考え方を工夫することで、仕事に対する意欲ややる気を出せるかもしれないと感じた。

過去だけに目を向けず、目標に対して解決策を出し続ける=モチベーションを保つことにつながる、と考えたことがなかったので、非常に心に残りました。

『やれる理由を探せ』というテーマは、とても今の自分に必要なものであったと思います。元気をもらいました。(多くの方から同様のご意見をいただきました。)

などのご意見・ご感想をいただきました。

2.安全情報交換会

  安全情報交換会では、福島第一発電所の事故の教訓や、安全文化醸成活動の在り方などについて意見交換を行いました

以上