活動実績等

関西電力(株)美浜発電所にて第132回安全キャラバンを実施

平成24年9月13日、福井県美浜町にある関西電力(株)美浜発電所において、第132回安全キャラバンを実施し、安全講演会と安全情報交換会を行いました。

1.安全講演会

 関西電力(株) 美浜発電所の職員、協力会社社員の94名が出席されました。

講演会の冒頭、美浜発電所 安全・防災室長 小寺 良雄 様から、

『この安全キャラバンは、美浜発電所では3回目の実施となります。今回は、安全文化をテーマにして実施いたします。
ご存じのとおり、福島第一原子力発電所の事故以降、原子力を取り巻く状況は非常に厳しくなっている。また、国のエネルギー政策として、今後の原子力発電の比率が色々と議論されているが、脱原子力を求める意見が多く、原子力発電の重要性についてはなかなか理解が得られていない現状である。
当社としては、我が国のエネルギー自給率が4%ときわめて低いという実情を踏まえ、エネルギーの安定供給を支えるためには、安全を最大限確保した上で、エネルギーセキュリティや地球温暖化への対応、経済性の観点から、原子力発電が今後重要な役割を担うと考えている。
福島第一原子力発電所の事故については、各種事故報告書が出されているが、その中では安全文化についての指摘もされている。
例えば、政府事故調の報告書の中で、次のような指摘がある。「いったん事故が起きると、重大な事態が起きる原子力発電事業においては、安全文化の確立は国民の命に関わる問題である。我が国において、安全文化が十分に定着しているとは言いがたい状況にあったことに鑑みると、今回の大災害の発生を踏まえ、事業者や規制当局、関係団体、審議会関係者などおよそあらゆる原発関係者には、安全文化の再構築を図ることを強く求めたい。」 という指摘がある。
また、国会事故調の報告書の中にも、原子力規制委員会の大島賢三氏のメッセージとして、「今回の事故の教訓の第一は、原子力に対する国民の信頼回復のため原子力安全文化を根底から作り直すことだと信ずる。」 とある。
このように、福島第一原子力発電所の事故を踏まえて、我々には安全文化のさらなる向上が求められている。我々はこれまでも安全文化の醸成活動として、様々な活動を行ってきたが、この安全文化をさらに向上させて、社会の信頼を得ていかねばならない。
本日は、社会安全研究所の首藤先生より、安全文化の醸成に関する貴重なお話を聞くことができるので、今後の活動に役立てて欲しい。』

とのご挨拶をいただきました。

 ご挨拶の後、(株)社会安全研究所 代表取締役所長 首藤 由紀 様から「安全文化とは何だろうか? ~もう一度、その根本から考え直してみよう~」と題してご講演いただきました。

講演では

◆「安全文化」という概念が生まれる契機となったのは、チェルノブイリ原発事故である。その報告書では、安全文化の定義は「原子力の安全問題に、その重要性にふさわしい注意が必ず最優先で払われるようにするために、組織と個人が備えるべき統合された認識や気質、態度」とされている。

◆ このチェルノブイリ原発事故に続き、スペースシャトル・チャレンジャー事故、地下鉄キングスクロス駅火災が発生し、その背景には「なせばなる」症候群(can do syndrome)、組織間のコミュニケーション不足等が存在していたことが指摘された。また、日本では1999年にJCO臨界事故が発生し、企業経営の中で原子力安全の観点が軽視されていたこと、2005年に発生した福知山線脱線事故では、組織の管理体制が事故の背景要因であることが、それぞれ指摘された。このような様々な事故が発生する度に「安全文化」の重要性が叫ばれてきたのである。

◆ 各産業分野には、同業他社と比べて極めて高い安全成績を長期にわたって継続している企業・組織が存在する。そうした「高信頼性組織(HRO:High Reliability Organization)」について調査を行ったところ、このような組織に共通する特徴として挙げられるのは、安全性の追求が決して「特別な配慮」ではなく、極めて日常的なことがらとして「自然体」で取り組まれている点であった。よく「経済性・生産性・効率などを優先したために安全性がないがしろにされた」という言い方をされるが、高信頼性組織においては、安全性は経済性・生産性・効率と決して相反するものではなく同じ方向を向いているものであり、安全という価値はもともと組織が持っている存在価値とイコールなのだと位置づけられている。同時に、経営層のリーダーシップに基づくトップダウンの力と、各職場の現場レベルで取り組む地道なボトムアップの活動との双方が互いに力を発揮し、同じ方向を目指して組織全体を動かしているという点も、高信頼性組織における共通点である。

◆「大丈夫だ」という言葉は絶対に使わず心配性になること、「いつかやろう」ではなく「今やらなければならない」と思うこと、これらを継続していくことが安全文化の維持向上につながるものと考えている。

との貴重なお話をいただきました。

講演会終了後のアンケートでは、

● 安全についてとてもよくわかり聞きやすい講演でした。今後の業務の参考にさせていただきます。

● 実例を基に安全についての要点をそれぞれ説明していただき非常に分かりやすくまた理解もしやすい講演をして頂きありがとうございました。今後の業務を遂行する上で役に立つことが多々あり、自分なりに行動していきたいと思います。

● 安全文化の定義が改めて学べ、現場のみんなに広めたい。今後現場がより風土が向上する様に、意識しなくてもルールを守る、自然に良き習慣作りをする徹底さと執着さをもって安全取組みたい。

● D社や航空会社の取組みなど自然に根付かせる活動が効果的と思われます参考になりました。具体例の紹介が非常にわかりやすかったです。

● 安全文化とは何かを分かり易く説明して頂き大変勉強になりました。今後、この講演で学んだことを参考にして現場で役立ちたいと思います。

などのご意見・ご感想をいただきました。

2.安全情報交換会

 安全情報交換会では、関西電力(株) 美浜発電所様からご要望のあった「安全文化の現場第一線への浸透について」をテーマに、美浜発電所の醸成活動の取り組みについて意見交換を行いました。

以上