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運転責任者諮問委員会 第11回議事要旨

日時 平成28年4月25日(月) 10時30分 ~ 12時30分
場所 原子力安全推進協会 第1会議室

出席者(敬称略 順不同)

委員 木村委員長,森本委員,市瀨委員,副島委員
原安進 山崎理事長代行,中川部長
事務局 坂元GL,遠藤

議題

  1. 会議定足数の確認,議事次第と配布資料の確認
  2. 理事長挨拶
  3. 前回議事録の確認
  4. 平成27年度 運転責任者判定業務実施状況について
    (通常運責&福島第一運責)
  5. 口答試験委員と運転責任者合格証保有者とのコミュニケーションについて
    (再起動に伴う運転員技術力維持方策含む)
  6. その他
    • 平成28年度外部的監査事項について

議事概要

  1. 平成27年度 運転責任者判定業務実施状況について
    事務局より,平成27年度運転責任者判定業務実施状況について報告した。特徴的なこととして通常運責判定結果について,H24年度の試験問題の一部P/B共通化以降,平均点の差がほぼ解消傾向にあったが,今年度になってP/B受験者の平均点に乖離が見られるようになってきた。また,福島第一運責判定について,制度発足以来,運用改善に向けて工夫を進めていること,実績が少ないため報告では数値のみの記載となっている旨を説明。更に試験委員及び講習講師から出された意見の反映事項として,運転責任者としての人間力や適性が,より評価に繋がる工夫を実施した旨を説明。
    【主要意見】
    • 平成27年度に2名不合格者がいるが,どのように分析しているか。
      ⇒筆記試験における平均点は,試験問題の一部共通化以降P/Bが同じような傾向で推移していたが,今年度はBWR受験者が前年並みであるのに対し,PWR受験者の成績低下が顕著であった。一過性のものなのかデータも少ないことから引き続き監視することにした。なお,これまでの不合格者は,全員再受験を行い, 運転責任者合格証を取得している。従って当該受験者も再受験し運転責任者合格証を取得するものと考える。
    • 不合格者があってもリカバリー制度はあるのか。
      ⇒現有合格証の有効期限内で実技試験,或いは更新のための教育訓練修了後,6ヶ月以内であれば運責試験は実質2回まで再受験が可能な制度となっている。
    • 運転責任者合格証、福島第一運転責任者合格証の種別はどれくらいあるのか。
      ⇒炉型別では加圧水型,沸騰水型の2種類と,沸騰水型のうち福島第一運転責任者合格証として条件別に3種類の全5種である。
    • 筆記では知識,技能を確認することに対し,口答試験ではいわゆる性格,適性を確認するという面もあると思うが,それらを同時に面接でやるには非常に難しいのではないか。
      ⇒口答試験については,口述による知識の確認や質問に対する運転責任者としての見解について,総合的に採点している。そのうち,回答姿勢,問題理解力,説明能力といった部分について平成27年度より試験委員の裁量を増やし,運転責任者としての対応能力,適性がより確認できるように,仕組みに改善を加えたところである。
    • 筆記/口答試験委員,講習講師の選定基準とそのプロセスについて説明をしていただきたい。
      ⇒運責規程が定める基準により毎回事務局が選考している。特に電力会社所属の筆記/口答試験委員については公平性,公正性の観点から,その回に受験者のいない会社より委員を選考している。これらを運責判定試験後に行われる判定会議において次回の計画案の審議の際,委員候補者毎に資格の確認,選考の妥当性を審議し決定している。

  2.   
  3. 口答試験委員と運転責任者保有者とのコミュニケーションについて
    事務局より,活動状況について説明を行い,内容について確認された。
    【主要意見】
    • 発電所運転員のモチベーション低下が心配であるが,電力会社の置かれた事情により会社,或いは,発電所毎に濃淡はないのか。
      ⇒再稼働の見込み, 時期など電力会社の置かれた事情により多少の違いはあるが,再起動準備 等により高いモチベーションが維持されていることを確認している。
  4. その他
    JANSIの人材育成活動の総括と今後の取組みについて,事務局より説明を行い,ご意見を伺った。
    【主要意見】
    • 原子力発電所運転員の事故対応はシミュレータ訓練等で技術向上は期待出来るが,長期間の停止により定常運転状態,或いは正常時と異常時の見分ける技量の低下の心配はないのか。
      ⇒主に二次系機器については,火力発電所に派遣して運転中の実機を見て研修することも有効として計画,実施している会社もある。業界全体でそういう機運が広がっている。
    • 他社の運転員を受け入れる場合,電力会社の抵抗は無いのか。体験効果はあまり期待できない という意見もあるようだが。
      ⇒当初は受け入れに対して抵抗があった。まず自社を優先して実施するという会社方針,派遣可能な対象者絞り込みの必要性,プラント起動操作時の受け入れ困難という問題がある。ただし,川内発電所が稼働後,JANSIが中心になって出力変化を伴う定例試験に合わせて他社運転員の派遣について計画を進めている状況にある。電力間においても人材の交流研修を積極的に進めている。
    • 再起動に係る運転員の技術力向上対策があるが,ポイントは再起動と廃炉問題だと考えるが, 廃炉対策についてJANSIはどのように対応を考えているのか。
      ⇒廃炉処置段階までは運転責任者の範囲である。これは現在の仕組みと変わるところは無い。中部電力浜岡の例であるが,運転員のモチベーションという観点から言えば廃止処置という“これからの業務”に対するモチベーションは高いことを確認している。ただし廃止措置設備における運転責任者としてのモチベーションについては,今後確認していきたい。
    • その他,航空機業界,鉄道業界の資格試験のあり方,教育・訓練等,様々な議論が行われた。

以上