協会情報

会長挨拶

会長 ウィリアム・エドワード・ウェブスター・ジュニア 私たちは今、新型コロナウィルスに全世界で立ち向かうというかつてない時代を生きています。JANSIは新型コロナウィルスの感染拡大について慎重に検討し必要な対策を講じてきました。 私たちの優先事項は、JANSI職員と会員企業の皆様の健康と安全を確保し、JANSI活動が感染拡大をもたらすことを防ぎ、産業界にとって重要な原子力安全のオーバーサイトという役割を果たし続けることです。 JANSIは電気事業連合会、世界原子力発電事業者協会(WANO)、及び原子力エネルギー協議会(ATENA)と協力して、新型コロナウィルスから原子力従事者を保護するために各発電所が取り組んでいる良好事例をタイムリーに共有し、産業界を支援しています。 この点において、安全性向上の目的で運転経験(OE)情報を共有・利用することの重要性はひときわ高まっています。幸いにも日本の発電所においては新型コロナウィルスの陽性反応はごく少数におさえられており、発電所運営のためのリソースは十分に確保されています。

私たちの社会はいずれ新型コロナウィルスパンデミックを乗り越えます。もちろん、このウイルスと当面は共存しながら最終的に根絶する過程の中で、変化していくものはあるでしょう。しかし決して変わらないものは信頼性の高いエネルギー、特に低炭素エネルギーの重要性です。そして低炭素エネルギーの分野において原子力の果たす役割は不可欠です。 したがって、日本の原子力産業界において世界最高水準の原子力安全を推進するというJANSIの使命は必須であり、不変であり、決して揺らぐものではありません。活動を実行する方法は変わるかもしれませんが、安全を追求する真摯な姿勢をおろそかにすることはありません。

2019年度は、JANSI 10年戦略の最初の年でした。 JANSIは事業者の力強い関与と支援により、各重点課題において進捗を遂げることができました。例えばピアレビューの有効性向上、CAP等自主的安全性向上プログラムへの支援、将来導入を検討している発電所の定常的なパフォーマンス監視や運転情報プログラムについての議論といったことが挙げられます。JANSIは過去のピアレビューで繰り返し指摘されている課題について、事業者と協力しながら解決に向け取り組みました。2020年度に入り、10年戦略が着実に前進する軌道に乗っていることを感じています。

2019年度の実績を踏まえ事業者の変化するニーズも織り込んで、2020年度、10年戦略が更新されました。戦略自体に大きな変化はありませんが、産業界の動向に合わせ追加した活動があります。具体的には再処理施設の竣工と操業に向けた支援の強化、発電所のリスク感受性向上、本店のガバナンスとオーバーサイト強化の支援、重要なOE情報の収集及び共有の高度化です。

現在日本の原子力発電所は、5か所で9基が再稼働を果たしています。原子力規制委員会の厳正な審査をクリアし、安全工事を終了させ、自治体と十分な議論を行いつつ再稼働の準備を進めようとしている発電所もあります。しかし、重大な課題が残っています。再稼働を目指している発電所は長期にわたって運転停止しているため、運転員の技術が維持されていることを確認する必要があります。また、原子力規制委員会による新しい検査制度はまだ初期段階であり、プロセスを根付かせていく努力も必要です。更に、原子力が日本の電源構成において必要な役割を果たせるよう国民の皆様の信頼を取り戻すことも重要な責務と考えます。JANSI 10年戦略はこれらの課題の解決において原子力安全のエクセレンスが極めて重要であることを認識しており、これを優先させていきます。

最後に、原子力従事者としての心構えについて述べたいと思います。原子力に関わる仕事に就くことは、常に安全を最優先とする精鋭の一員になることです。それは原子力と謙虚に向き合う人々の集まりであり、すべての決定と行動が原子炉の安全性を優先した結果となります。世界中の原子力従事者と協力し安全と連帯を実現していく姿は、原子力産業界に欠かせない特徴であると思います。原子力安全への堅実なアプローチは、新型コロナウィルスへの懸念が広がる現状においても産業界を支えています。このコロナウィルスへの対応に気を取られた結果ヒューマンエラーが発生するという状況を招いてはなりません。今は、必要な感染予防措置を並行して実施しながらも、原子力安全の基本をいま一度振り返り、再徹底する時です。私は、JANSIを含む産業界の一人一人が安全への堅実な取り組みを実践し、この不確実な時代を乗り切ることを確信しています。いかなる時でも安全追求の姿こそが、私たちを原子力従事者たらしめるものであるからです。

一般社団法人 原子力安全推進協会
会長 ウィリアム・エドワード・ウェブスター・ジュニア