協会情報

会長挨拶

会長 ウィリアム・エドワード・ウェブスター・ジュニア このたび、原子力安全推進協会(JANSI)会長に就任いたしました。私は、米国原子力発電運転協会(INPO)のエグゼクティブ・バイス・プレジデントを2016年に退任後、2017年1月から18ヵ月間にわたりJANSIのエクゼクティブアドバイザーを務めてきましたが、これからは、責任者として、JANSI職員とともに、日本の原子力産業界の自主的安全性向上に関わる重要課題に取り組んでまいります。

今日、日本の原子力産業界は厳しい岐路にあります。原子力発電所は、福島第一原子力発電所事故の後、長期間にわたって停止しておりましたが、ようやく再稼動するプラントが出てきました。その一方で、未だ多くのユニットが原子力規制委員会による安全審査の下にあります。こうした中、原子力規制委員会は、米国原子力規制委員会の原子炉監視プロセスを踏まえてモデル化された、リスク情報を活用した新たな規制手法を採用する方向に進んでおります。また、原子力産業界においては、経験豊富なベテランが退職していく一方で、今後は経験の浅い社員が原子力発電所で重要な役割を果たしていくことが予想される等、産業人口動態の劇的な変化も進行中です。更には、福島事故により、原子力に対する一般社会やステークホルダーの信頼が損なわれています。

しかしながら、これらの課題は、私が長年INPOで取り組んできた原子力産業界の課題に類似しています。これらの課題それぞれに取り組むための最も重要な手段の一つは、原子力の安全性と運用上の信頼性におけるエクセレンスの揺るぎない追求であると、私は経験から学び、私の確固たる信念となっています。そして、これが、JANSIのミッションの核心であると考えます。

原子力安全におけるエクセレンスへの揺るぎない追求とその結果としての安全文化の醸成は、まずは組織のトップ、つまり最高責任者がスタートを切らなければなりません。このため、JANSIのガバナンス構造も従来と比べてより強化されることとなります。すなわち、理事会がすべての日本の原子力事業者の最高経営責任者(CEO)で構成され、原子力安全へのコミットメントを事業者全体に明瞭かつ明確に伝達する体制を整えます。この重要な組織強化は同時に、日本の原子力事業者に対して、JANSIが世界最高水準の原子力安全基準を設定し実施する権限を有していることを示すとともに、JANSIに対して、原子力発電所のパフォーマンスについて評価した結果を説明する責任と、JANSI自体のパフォーマンスについても説明責任があることを要求するものです。その一方で、 JANSI外部の委員で構成される国内アドバイザリー委員会は、JANSIの会長および理事会に対して、外部の独立した視点からアドバイザリー機能を提供することとなります。

また、私たちは、JANSIの活動を日本の産業界の優先事項と整合させるための長期戦略を策定します。加えて、短期での優先課題としては、原子力安全における世界最高水準のエクセレンスを満たすための、各原子力発電所の努力を評価する効果的なピアレビュープログラムを実施します。更に、事業者が原子力発電所を円滑に再開できるよう、彼らに対して支援と情報交換を行います。この他、連絡代表者(SR)による支援、専門分野ごとの連絡窓口(TCP)による支援、原子力安全解析、訓練プログラム、安全文化モニタリングなどの各種の支援活動を引き続き積極的に進めていきます。同様に、是正措置プログラム(CAP)やパフォーマンス指標(PI)といった新規制体系を支える発電所側のプログラムを軌道に載せていくことにも注力していきます。運転経験情報を収集し共有するプログラムも、原子力安全を促進するための重要な手段となります。世界最高水準の安全基準が原子力産業界に理解され、受け入れられることを担保するため、私たちは、世界原子力発電事業者協会(WANO)、電気事業連合会、原子力リスク研究センター、その他の国内外の組織とも協力していきます。

こうした取組みは決して簡単なものではありません。日本だけでなく、米国のエネルギーの未来も不確実です。しかし、未来のエネルギーはやはり温室効果ガスの削減が求められており、その中で、原子力は確実にゼロエミッション電源として重要な役割を果たすものと確信しています。 JANSIとその会員会社の役割は、この未来を支える安全で信頼性の高い原子力発電を実現することです。

エクセレンス追求の旅は決して平坦なものではなく、絶え間ない注意を必要としますが、向かう先には大いなる未来が待っています。その未来を信じて私は進んでまいります。

一般社団法人 原子力安全推進協会
会長 ウィリアム・エドワード・ウェブスター・ジュニア