活動実績等

中国電力(株)島根原子力発電所にて第161回安全キャラバンを実施

平成28年8月5日、島根県松江市にある中国電力株式会社島根原子力発電所において、第161回安全キャラバンを実施し、安全講演会と安全情報交換会を行いました。

1.安全講演会

島根原子力発電所に従事する所員及び協力会社の職員、更にTV会議システムを利用して広島本社及び上関事務所の職員合わせて301名が参加されました。

講演会の冒頭、発電所長 北野 立夫 様より

「本日は、原子力安全推進協会の皆さまに当島根原子力発電所にお越しいただき、安全キャラバンとして「安全を創る」というテーマで、JR東日本人事部安全教育担当部長の佐藤先生よりご講演をいただきます。 私たちは平成22年に起こった点検不備問題の原因を踏まえ、安全文化醸成活動に努めてまいりましたが、昨年6月に判明した低レベル放射性廃棄物流量計問題は、安全を最優先にする、という意識が、私たち一人ひとりの心に十分に浸透・徹底していなかった、ということが一つの原因です。そういった意味で、まだまだ私たちの安全文化醸成に対する取り組みは道半ばと言えるかと思いますので、ああいった事案はもう決して起こさない、という強い覚悟で、引き続き安全文化醸成活動に努めていかなければなりません。
本日、佐藤先生の方から安全に対する動機づけ、心構えなどについて講演いただきますが、これは、私たちにとって非常に有意義なものになると考えておりますし、また、午後には若手の職員たちとの意見交換も予定されております。
本日の安全キャラバンが、私たちの安全意識を高揚させる一つの大きな取り組みになることを期待しておりますので、皆さま、講演を最後までしっかりと聴講していただきますように、よろしくお願いします。」 とのご挨拶をいただきました。

ご挨拶の後、JR東日本人事部安全教育担当部長 佐藤 寿 様から「安全を創る」と題してご講演いただきました。


講演では、

◆安全を創るには、システムやマニュアルを過信せず、考え続けることが大切です。働く上で受け身でいてはいけません。自分で考え、行動し、知恵を出し、努力し続ける必要があります。また、渋々やるのではなく、積極的な姿勢でいることが安全につながります。
◆JR東日本では、自分自身、部下や同僚、お客さまの命を守るために、何をすべきか自ら考え自ら行動できる、「鉄道人魂」を持った社員の教育に力を入れています。そのためには心に残る安全教育が有効です。 具体的には、「基本動作を愚直に実行しよう」ということで、まず頭で納得してから体に覚え込ませることをセットで行い、安全行動を継続させます。また、「正しい報告と速やかな報告を心がけよう」ということで、次のミスを防ぐために速やかな報告を促しています。また、「慌てない、あせらない」ということで、有事にはまず「魔法の6秒」として深呼吸を3回して落ち着きを取り戻すよう教えています。次に、「危ないと思ったら列車を止めよう」ということで、何か違和感を覚えたときにはワンアクション起こそうと教えています。最後に、「自分だけは大丈夫と考えるなかれ」ということで、まわりが経験した事故やトラブルは必ず自分の身にも起こるという意識を持つよう教えています。
◆ヒューマンエラーを防ぐには、人間の特性を知る必要があります。まず人間の特性として、危険への感受性が鈍ったときに事故は発生します。次に、人間は雑念がわいてきてしまうものなので、エラーをゼロにはできません。しかし、「複雑な作業は省略される」、「作業効率を阻害する安全装置は意図的に外される」、「前にうまくいった不安全行動は繰り返される」等の傾向を少し勉強しただけでも、エラーを減らすことはできます。そして、皆身も心も健康な状態で仕事に来ているという「健康幻想」、注意をすれば守ってもらえるという「注意幻想」、文書を出せば読んでくれるという「文書幻想」、これらの「幻想エラー」に管理者ほど陥りやすく、注意が必要です。
◆最後に、我々の可能性、つまり才能や能力は無限です。能力を開花させるには、様々なことにチャレンジしてください。多少の覚悟やエネルギーは必要ですが、開花した才能で誰かの役に立つことは素晴らしいことです。 原子力発電所に勤める皆さんは今苦境にありますが、苦労が報わる日を信じ、これからも頑張ってください。

との貴重なお話をいただきました。

講演会終了後のアンケートでは、

JRでの貴重な体験を基に講演いただき、安全に対する意識が格段に高いと感じた。“社員やお客様の命を守る”という徹底した教育がなされていることに感銘を受けた。
講話の内容がとても分かり易く、共感しながら聴くことが出来ました。参考になる話ばかりで、あっと言う間の時間でした。
職場で安全に仕事が実施できるよう日頃より周りに気を配り、いつもと違う点を気付けることが大切だと感じました。また、気付いたことはアクションを起こすよう心掛けようと感じました。
部下の指導や教育に役立ちそうな話題が多く盛り込まれていて、参考になりました。特に人間の特性を背景とした、現場第一線が陥り易いエラーの指摘は直ぐに使える知見として、明日からでも応用します。

などのご意見・ご感想をいただきました。


2.安全情報交換会

午後は、当協会システム基盤部 安全文化グループ 井上 守 部長より「安全文化のより一層の定着に向けて」と題して情報提供があり、引続いて、「島根原子力発電所の強みと弱み」について意見交換を行いました。
参加者は、島根原子力発電所の所員21名が参加されました。

◆自分の担当業務を振り返る大変良い機会となったし、JANSIや所内の幅広い意見を聴くことが出来、参考となった。安全文化について、理解を深めることが出来た。
◆他電力などの良い取り組みは、当社にとっても参考になるので、このようなキャラバンの機会を 通じて、他社の良好事例をもっと紹介して欲しい。 

以上