活動実績等

日本核燃料開発(株)にて第159回安全キャラバンを実施

平成28年3月4日、東茨城郡大洗町の日本核燃料開発(株)において、第159回安全キャラバンを実施し、安全講演会と安全情報交換会を行いました。

1.安全講演会

日本核燃料開発(株)の社員、協力会社社員等31名が出席されました。

講演会の冒頭、日本核燃料開発(株)代表取締役社長 成瀬 克彦様から、
「本日は、『ヒューマンエラーの防止と安全文化の醸成』というテーマで、北九州市立大学教授である松尾先生にご講演いただきます。 原子力安全推進協会様には、前年度レビューに来ていただき、長期間見ていただきました。そして、特に一般安全について、ヒューマンエラーを含め、様々な改善提案をいただきました。我々も様々な取り組みはしていますが、外部からの目で見ていただくことで、思いを新たにするきっかけとなりました。その後社内で、改善提案を受けた内容について様々な取り組みをしています。 しかし、ヒューマンエラーは人間がいる限り付きまとう問題です。本日、松尾先生の知見を踏まえたお話をいただき、皆さんに今後の安全活動に役立てていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。」

とのご挨拶をいただきました。

ご挨拶の後、北九州市立大学 教授 松尾 太加志様から「ヒューマンエラーの防止と安全文化の醸成」と題してご講演いただきました。

講演では、

◆ヒューマンエラーは誰もが起こすもので、起きたときにどう対応するかが大切です。
◆ヒューマンエラーとは「期待を逸脱した行為・判断をして、期待を逸脱した結果になった」ことを指し、大きな問題となるのは、「錯誤・失念」を起こすことと、「不安全行動」を起こしてしまうことです。
◆ヒューマンエラーの原因には、柔軟で適応的かつ効率を優先させる人間の基本特性と、私たちが使うモノ・情報・システム・文化という背景的な要因があります。つまり、ヒューマンエラーは私たちの人間特性や、そのとき置かれた要因によって必然的に生じてしまうものであり、原因ではなく結果なのです。私たちは「正しい判断や行為ができるのが人間の本来の姿で、それが何らかの原因で歪められた結果、起こるのがヒューマンエラーである」という認識を持つ傾向がありますが、ヒューマンエラーを防ぐためには、「人間は正しい決定や行為ができているわけではない」という認識を持つ必要があります。
◆ヒューマンエラーを防ぐためには、個人がやるべきことと、組織がやるべきことを考える必要があります。人間の基本特性は変えられませんが、背景的な要因は変えることができます。個人としては、知識やスキルの獲得、リスク認知を高めることがもちろん必要ですが、組織として、モノ・情報・システムを改善していく必要があるのです。また、人間はエラーを起こしていても、その時点では気づかないため、対象・表示・ドキュメント・電子アシスタント・人といった外的手がかりによって、外から気づかせるしくみも必要です。
◆ヒューマンエラーを起こさない安全文化の醸成のためには、個人と組織がうまく連携する必要があります。個人はどうしても効率を優先するため、組織が取り組むことで、コストをかけてまで安全を優先するという文化を醸成しなければいけません。また、ヒヤリハットや事故を教訓に活かす必要があり、ヒヤリハットの報告・共有、それを活かした改善という流れに繋げていくためには、個人だけでなく組織がきちんと取り組む必要があります。後知恵バイアス的にエラーを起こした人を罰する「懲罰モデル」ではなく、失敗を教訓として活かしてシステムの問題点をきちんと検討・改善する、つまり事故を学習に活かし、システムの問題を消していく「学習モデル」であることが必要です。そのように学習していくことで、同じようなエラー・事故というのは起きないようになります。

との貴重なお話をいただきました。

講演会終了後のアンケートでは、

ヒヤリハットからの学習、個人と組織の協力等、現在の取組みについて認識を高めることができ、有意義であった。
ヒューマンエラーについて詳細に分かりやすく説明して頂けたので満足しています。
ヒューマンエラーは人間の特性からというところが改めて認識出来ました。
分かりやすい講演内容でした。事故防止への手段を教えて頂きました。
理解しやすく仕事を進めるにあたって役に立つと感じられる。

などのご意見・ご感想をいただきました。


2.安全情報交換会

安全情報交換会では、「日本核燃料開発における課題とその対応策」をテーマに、幹部、各グループのグループリーダーと北九州市立大学 教授 松尾 太加志様をまじえ、課題に対する取り組みの紹介と、対応策について意見交換を行いました。





以上