活動実績等

九州電力(株) 玄海原子力発電所にて第148回安全キャラバンを実施

平成26年9月29日、佐賀県東松浦郡玄海町にある九州電力株式会社玄海原子力発電所において、第148回安全キャラバンを実施し、安全講演会を行いました。

1.安全講演会

 九州電力株式会社及び協力会社の社員の89名が出席されました。

 

講演会の冒頭、玄海原子力発電所長の今村 博信 様から、

「本日はお忙しい中、原子力安全推進協会のみなさま方にはご来所いただきましてありがとうございます。我々も福島第一原子力発電所の事故以来、原子力安全ということに対して非常に厳しい目が社会から向けられているのを日々実感しているところです。こういった中で、安全文化の醸成活動につきましては、これまで社内的に重点項目を毎年決めてやってきたところです。また、協力会社のみなさま方と発電所一丸となって、コミュニケーションを取り合い、安全文化を高めていこうと努力しているところです。さらなる安全文化の醸成を目指すということは我々も常日頃から大切だと思って、そのためには我々自らが率先して行動するというリーダーシップが非常に重要だろうと感じており、もっとレベルアップしていかなければいけないと思っています。本日はこういったテーマについてご講演いただき、心から感謝している次第です。本日の内容を、私たちも協力会社のみなさま方と一緒になって安全に活かしながら、発電所をレベルアップさせていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。」

とのご挨拶をいただきました。

 ご挨拶の後、原子力安全推進協会 プラント運営支援部 運営支援グループ 特任調査役 渡邉邦道 から「リーダーシップについて」と題して講演を行いました。

講演では

◆JEAC4111-2013の改定では、「リーダーシップ」、「ヒューマンファクター」、「安全文化」の3つがキーポイントです。そして改定内容の1点目は、原子力安全の取り組みの明確化とJEAC4111の位置づけの再検討です。2点目は、IAEA基準との整合を図ったことで、3点目は、新たに定められた技術基準をJEAC4111に反映したということです。

◆ヒューマンファクターについて、みなさんに覚えていただきたいのが「エラーというのは原因ではなく結果だというもので、エラーを起こした背景・要因がある。どんな優秀な人でもエラーは起こす。エラーが起こりそうな状況は予測可能、管理可能であり、回避可能である」という事です。そのためにはヒューマンエラー防止策を使って取り組むということが必要だということをリーダーは理解をして取り組むという姿勢が求められています。

◆リーダーシップは、先天的なものではなく教育によって養成できるという視点に立ち、誰でもがリーダーシップを身に着けることができるものとして位置づけられています。リーダーシップのモデルの一つに「状況対応のリーダーシップモデル」があり、4つの対象に応じて「委任的」、「参加的」、「説得的」、「教条的」のタイプがあります。また、リーダーのマインドとしては、変化を起こさなければと考える、やればできると思う、どうしたらできるようになるかを考える、目的は何かを考える、何が最初のあるべき姿かを考える、リーダーは、こうした積極的なマインドで取り組むことが肝要で、安全文化を強固にするためには不可欠です。

◆安全文化については、JANSIの7原則やIAEAの5原則等の説明があります。アカウンタビリティ、オーナーシップ、コミットメントの3つの言葉は安全文化のキーワードです。

◆JEAC4111-2013の中でのリーダーシップの取り組みについては、4章から8章まででは従来と同じですが、新たに9章が設けられ、⑴「原子力安全の価値観の浸透」、「当事者意識の醸成」、⑵「方向性の浸透と実践」、⑶「説明責任の履行」、⑷「リーダーシップ能力の開発」など全部で9項目あり、文書化可能な領域とそうでない領域、適合性評価ができる領域とそうでない領域を含んでいます。

◆最後に、世界やアメリカはエクセレンスを目指し地道な努力をしていますので、やはり私たちも外の世界にも目を向け感度を高くして、世界最高のエクセレンスを目指して活動に取り組んでいただきたいと思います。
との話をしました。

リーダーシップ研修終了後のアンケートでは、

原子力安全とリーダーシップの関係、各階層のリーダーの役割と原子力安全について具体的に講演いただき、良く理解できた。「安全文化」と「リーダーシップ」について、発電所の運転に携わる一人ひとりが具体的にどのように行動していけばよいのかというイメージを持つことができ、大変有意義でした。

安全文化を強固とするためには、リーダーシップが不可欠であり、リーダーが率先垂範し、相手(部下)の能力に応じた適切な指導を行うことが部下のやる気を引き出し、安全文化につながることがよく理解できた。

フォロワー次第でどのようなリーダーシップを発揮しなければならないのか、また、安全文化は当事者の意識が大事であることも理解できた。安全かつ効率的に発電し電力を供給するために組織全体として行動できるよう、外の世界にも目を向けて取り組んでいきたい。これからは、組織目標の達成に向け努力できるよう、組織を構成する人々の行動へ影響を及ぼせるよう、自分自身を高めていかなければならないと考える機会となった。

「アカウンタビリティ」、「オーナーシップ」、「コミットメント」の解説は大変参考になった。目からうろこが落ちた思いがした。今回、大変有益なお話をいただき感謝しています。

今回の講演を受け、米国での安全の意識の高さに驚いた。日本の意識も高いと思っていたが、まだ安全の為に取り組めることが多くあることに気づくことができた。リーダーに関しては、管理職等への話だろうと思っていたが、今回誰でもがリーダーに成りえると聞いた。自分は、リーダーとは知識もあるなど活力がある人と意識があったが、コミュニケーション力、人を見る力を自身に付け、その像へ近づきたい。


などのご意見・ご感想をいただきました。

以上