活動実績等

原燃輸送株式会社 六ヶ所輸送事業所にて第146回安全キャラバンを実施

 平成26年7月10日、青森県六ヶ所村にある原燃輸送株式会社六ヶ所輸送事業所において、第146回安全キャラバンを実施し、安全講演会を行いました。安全講演会は、六ヶ所輸送事業所の安全大会の安全講話として実施しました。

1.安全講演会

原燃輸送株式会社 本店から吉澤社長、宮本安全・品質保証部長、六ヶ所輸送事業所の職員、協力会社社員等59名が出席されました。

安全大会の主催者、来賓の挨拶後、当協会 プラント運営支援部安全文化グループ 部長 吉村 誠一から 「他産業事例に学ぶヒューマンエラーの防止策 - ヒューマンファクターの視点から -」と題して講演いたしました。

講演では、

人は誰でもヒューマンエラーを起こし、また、時にはそれが事故やトラブルに繋がる。我々は事故やトラブルには目が行くが、それが何故起きたのか、その原因(背後要因=ヒューマンファクター)にまで思いを馳せることは少ない。一般に、ヒューマンエラーという概念は広く世間に認知されているが、ヒューマンファクターという概念は馴染みが薄い。しかし、事故やトラブルの背後要因を考え対策を立てようとする時、発生した事象を理解した上で、ヒューマンエラーとヒューマンファクターの関係を正しく知ることは重要である。

事故やトラブルは一見、突然起きるように思われるが、実はそうではない。幾つかの伏線(小さな事象)を経て発生する。これを事象の連鎖と呼ぶ。小さな事象とは、例えば、何かに気づかなかったことや、操作ミスなどに起因する人間―機械系の不具合事象であるが、その時点では、自分がそのような「小さな事象」を起したことに気づかないか、あるいは気に留めない。その重大性に気づくのは、これが大きな事象(事故やトラブル)に進展し、過去を振り返った時である。従って重要なのは、自分の行動や周囲の環境に常に注意を払い、自分を取り巻く状況を客観的に把握すること(気づきを得ること)である。この気づきはメタ認知と呼ばれ、事故やトラブルを未然に防止する有効な手段となる。しかし、自分の胸に手を当てて考えてみれば分かるように、この気づきを得ることはなかなか難しい。阻害要因は、例えば「思い込み」であったり、「楽をしたいと思う心」であったりする。「人間はどういう時にそういう状況に陥るのか」、が分かれば、日常業務の中での留意点が思い浮かび、危険に対する気づきは比較的容易に得られる。

他産業や同業他社事例を「対岸の火事」とみるか「他山の石」とするか、人によって考え方は異なる。「他山の石」とすることは、観察学習(人の振り見て我が振り直せ)に相当する。また、それによって人間の考えは色々な影響を受け、自分の考えを更に発展させることもできる。

他産業の事例では、楽をしようとする人間の特性が背後要因の一つとして挙げられているが、これはルール違反の温床にもなるものであり、注意が必要である。ルール違反に関するあるアンケートによれば、「周囲が守っているから自分も守る」という人が半数以上を占める結果となった。この背景には、社会的同調を求める人間の特性があり、これをうまく活用することで、誰もがルールを守る職場の雰囲気を作り出した事例もある。

対策は皆が実行し易く効果の高いものでなければならず、そのためには人間の特性に配慮した作業や環境、対策の設計・運用を考える必要がある。過去の事例からさまざまな教訓を学ぶことができるので、職場で水平展開を図りながら、今後のヒューマンエラー防止活動に役立てて欲しい。


とのお話がありました。

講演会終了後のアンケートでは、

事故やトラブルを防ぐためには、問題の原因を深く掘り下げて分析することが大切だということがわかりました。また、ミスや間違いが生じる要因には、心あたりのある事例が多くあり、今後の改善が役立ちそうです。特に、作業の中断によって、効率が落ちたり、やるべきことを忘れてしまったりということが多いので、何か工夫して対策を行いたいです。

内容は普段関わりのないヒューマンファクターという分野のお話しだったため新鮮でした。ルール違反に関するアンケートなどは、周囲同調タイプが55%と、思ったよりずっと高いものだったため驚き、今後気をつけないといけないと自覚しました。また、その周囲同調を利用して、ルールを守らせるような対応をさせるのは、興味深いものでした。

ヒューマンエラーについて、人は間違いを犯すことを念頭に、作業を安全かつ着実に一つ一つ作業を実施しなくてはならないと認識させていただきました。チェックについて、様々な視点からチェックが行えるよう、チェックシートを改善し、自分の業務へ展開していきたいと思いました。

大変分かりやすくご説明いただきありがとうございました。「安全は努力して得るもの」、「対策は納得感が重要である」、「安全への意識(動機)づけ」、「安全対策の目的の理解」など大変示唆に富んだ内容だったと思います。

今回の講演を聞いて、改めて錯覚と思いこみの危険を感じることができました。普段の作業現場にも、錯覚と思いこみ、また、マンネリ化からくる安全意識低下が原因でヒヤリハットが起きています。今回の講演で学んだことを活かして、今後さらに安全作業に努めていきたいです。


などのご意見・ご感想をいただきました。

以上