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(株)東芝 磯子エンジニアリングセンターにて第143回安全キャラバンを実施

 平成26年2月13日、横浜市磯子区にある(株)東芝 磯子エンジニアリングセンターにおいて、第143回安全キャラバンを実施し、安全講演会と安全情報交換会を行いました。

1.安全講演会

 (株)東芝の職員 80名が出席されました。

 講演会の冒頭、(株)東芝 磯子エンジニアリングセンター センター長 橘川 敬介 様から、

「ご多忙の中、全日本空輸株式会社総合安全推進室長の田中龍郎様にご講演いただけますこと、誠にありがたく存じます。『航空機運航部門におけるヒューマンファクターの取り組み』と題して、ご講演いただきますが、その中でヒューマンファクターに着目した防止対策、航空機業界での安全管理システムについてのお話が聞けるということで、非常に楽しみにしております。
 さて、私ども常日頃、安全は当然のものとして出張などでも航空機を利用しております。コスト競争力だとか定時運行などの課題が多い二律背反の中で、航空会社のみなさまは安全確保していただいているわけですが、これも日々の着実な安全対策の結果だと判断しております。人が巨大なシステムを運用するということでは、原子力と同じようにご苦労されているところだと推察いたします。私ども、原子力プラントの安全も巨大システムを人が運用するという意味では共通点もあろうかと思います。
 本日は、当センターをはじめ川崎本社、電力社会システム技術開発センター、京浜事業所、府中事業所、両工場の原子力関係者と、火力水力事業部からも参加させていただいております。
 安全文化醸成の取り組みをさらに発展させる上で、貴重な機会だと思っておりますので、是非とも田中様の講演を拝聴しまして、これからの安全文化の醸成に、向上につなげていきたいと思っておりますので、宜しくお願いいたします。」

とのご挨拶をいただきました。

 ご挨拶の後、全日本空輸(株)総合安全推進室 室長 田中 龍郎 様から「航空機運航部門におけるヒューマンファクターの取り組み」と題してご講演いただきました。

講演では、

◆安全の基本原理として、全日空では「安全管理規定」というものを作っています。航空運輸局にも提出しているものですが、安全というのは人や財産に危害を与えるリスクが、リスクマネジメントにより許容可能な水準以下に管理されている状態と定義されているもの、となっています。では、安全とは誰が決めるのかというと、それはお客様が決めるのです。

◆全世界のジェット機の百万飛行回数あたりの事故率の統計を見ると、1955年から2012年まで、事故率は急激なほど減り続けています。 これをフェーズに分けると、最初は「技術的要因」、古典的なヒューマンエラー対策で下げました。この対策は現在でも行っています。そして次に「人的要因」いわゆるヒューマンファクターに着目をして下げていこうというもので、CRM訓練という、コクピットで権力に左右されずに自由に考えを伝える訓練、LOFT(Line Oriented Flight Training) などを導入して行われ、スレット&エラーマネジメントという、エラーに至る脅威を取り除いていこうというように進化しています。そして「組織的要因」では、人的要因の背景には必ず組織的な要因があることに着目をして、技術・人的・組織的、3つの要因を包括するため、体系的な視点から安全が見られるようになりました。

◆ANAグループは「ANAグループ安全教育センター」という施設を持っています。全日空は、昭和46年の7月30日、雫石で自衛隊機と空中衝突して墜落したという経験を持っています。それ以来、人命に係わる事故は一切起こしていませんが、もしこういった事故が起きたら一体どうなるのか、ということはリアルに体験するということはできませんので、このような展示で社会的な影響や事故の悲惨さを知ってもらおうというものです。 ANA本体で1万4千人の全社員が、グループを含めると3万人ほどが、ひと通りここで一時間半の教育を受け、今、二周り目に入っているところです。

との貴重なお話をいただきました。

講演会終了後のアンケートでは、

システムを運転する側からの、安全に対する取り組みを紹介いただきありがとうございます。運転には必ず人が介在し、そこで発生するエラーをいかに低減するのか、貴重なノウハウであり参考になった。

安全理念、考え方について経験や理論ストーリーを考えられた上で成立しているものと感じた。とても組織的に「安全」を考えられていて、大変参考になりました。

航空会社における安全・安心の取り組みについて、大変良く分かりました。特に社会へのインパクトの大きな事業特有の取り組みは原子力業界とも共通する点が多いと思いました。

これまでの経験に基づいたソフト・ハード両面の対策について詳細に知ることができ、興味深く拝聴いたしました。また、原子力と相通じるものがあり、安心を得るためには努力が必要なことがわかりました。


などのご意見・ご感想をいただきました。

2.安全情報交換会

 安全情報交換会では、(株)東芝からご要望のあった「新規制基準等への対応について」をテーマに、(株)東芝の安全文化醸成活動への取り組みについて意見交換を行いました。

以上