活動実績等

日立GEニュークリア・エナジー(株)にて第142回安全キャラバンを実施

 平成26年1月29日、茨城県日立市にある日立GEニュークリア・エナジー(株)において、第142回安全キャラバンを実施し、安全講演会と安全情報交換会を行いました。

1.安全講演会

 日立GEニュークリア・エナジー(株) 職員をはじめとして  143名が出席されました。

 講演会の冒頭、取締役副社長 浦瀬 賢治様から、

「本日はこのような機会を設けていただき、お礼申し上げます。熊本から吉田先生をお招きし、『コミュニケーションと対人関係スキル―言いたいことが言える職場風土づくり―』と題してお話していただきます。我々の会社は「言いたいことが言える職場」になっているだろうか、という点からいろいろ問題提起があるかと思います。午前中にお話を伺い、午後には討論の場を設けております。今日を通して得たものを今後の活動の一助とさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 我々の業務内容を申し上げますと、まず、福島での原子力発電所事故以来、福島復旧へ向けた取組みをさせていただいています。
 次に、我々は現在停止している原子力発電所の稼働に向けて、電力会社さんのご支援をさせていただいております。どのようにすれば安全性を高める設計となるか、また、どのように工事を安全に行うかを検討している最中です。 また我々は現在、日本の原子力発電所の技術や安全文化を海外に展開することを目指しています。
 以上、大きく3つの仕事を今後進める上で、まずは今日、安全に関する議論をしっかり行い、今後の活動に反映したいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 事故の原因は、吉田先生がおっしゃっているように、大きくは2つくらいであると考えています。物が言えないか、もしくは、言っても通らないか、の2つです。まずは、こうした単純なところから対策を考えていくべきだと思いますので、今日は先生の話をよく聞き、質疑応答を盛んに行っていただければと思います。」
とのご挨拶をいただきました。

ご挨拶の後、熊本大学教育学部附属教育実践総合センター 教授 吉田 道雄 様から「コミュニケーションと対人関係スキル-言いたいことが言える職場風土づくり-」と題してご講演いただきました。

講演では、

◆職場では、言いたいことが言える風土をつくることが大切である。原子力業界等の事故に関しても、その原因は、極めて単純に言うと、「言いたいことが言えなかった、あるいは、言っても聞いてもらえなかった」ことであると考えられる。もちろん、原子力発電所事故のように複雑なものの場合、その原因は一つや二つだけではない。ただ、職場で、「これってよくないんじゃない?」「おかしいな」と思っていても言えないといった状況にあれば、これはとにかく危ない。職場で働く全員が「良くないな」「変だな」と感じたことを言うことができる環境をつくる必要がある。そうでないと事故がいつ起きてもおかしくない。

◆「言いたいことが言える」ためには、相手との間に良好な関係を創り上げることが必要である。日ごろから関係が良いと、相手が話すべきことのうち80%くらいしか言えていなくても、残りの20%の情報を補ったりしながら話を聞く。その結果として、話の内容を理解することができるものである。しかし、関係が悪いと相手が伝えるべきことを十二分に話してくれていても、気持ちよく話を聞こうとしない。そのために話の内容も80%、場合によっては50%程度しか受け止めていない。つまりは、対人関係のあり方によって、話の通じ方が変わり得るのである。このように、コミュニケーションにおいて人と良好な関係を創ることはきわめて重要である。

◆また、コミュニケーションや対人関係においては、自分の言いたいことが相手に伝わっているかを確認したり、小さな取り組みを評価したりすることが大切である。同じ言葉やジェスチャーであっても、経験や環境の違いにより捉え方が異なることがある。特に、安全に関しては、相手が自分の言ったことを理解しているか気になった時は欠かさず確認することが大切である。また、事故防止には、あいさつや、些細なことでも気づいたときに声を掛け合うといった小さな取り組みが役立つと思われる。大きなことではなく、他の人が気付かないような些細なことを評価したりほめたりすることも有効だろう。

◆また、職場のコミュニケーションにおいては、リーダーとフォロワーの関係が大きいが、その際、リーダーシップと同様に大切なのがフォロワーシップである。人は、誰かの上に立つリーダーの時もあれば、その逆のフォロワーの時もある。そのため、リーダーとしてのスキルを上げるだけでなく、フォロワーとして「リーダーをどう育てるか」という視点を持つことも是非考えていただきたい。その意味でフォロワーシップを磨くことも組織の安全と活性化にとって欠かせない。

◆コミュニケーションや対人関係、リーダーシップやフォロワーシップは、エクササイズすれば改善できる。失敗を恐れず、どんどんチャレンジしていただければと思う。

との貴重なお話をいただきました

講演会終了後のアンケートでは、

大変有意義な講演が聞けてよかったと思います。ありがとうございました。「懐は1mm深く」「心は1mm2広く」はとても心に響きました。少しでもこれができるように心掛けたいと思います。また、実践します!!

話の内容が興味を引くものであって、退屈せず受講することができた。自分に足りないコミュニケーション能力を複数項目確認することができた。全ては実践できないので、ほめることを気にして行きたいと思う。

コミュニケーションスキルの向上が重要であることが理解できた。今後、職場のモチベーション向上のため、本日学んだことを実践して行きたい。

などのご意見・ご感想をいただきました。

2.安全情報交換会

 安全情報交換会では、日立GEニュークリア・エナジー(株)から「言い出しやすい職場風土の醸成について」に関する取り組みなどをご紹介いただいた後意見交換を行いました。

 安全情報交換会では、安全講演会と同じ「常に問いかける姿勢と意識向上のための活動」をテーマに、意見交換を行いました。

以上