活動実績等

川崎商工会議所貸会議室にて第134回安全キャラバンを実施
(ホスト:富士電機(株))

平成24年9月24日、川崎商工会議所貸会議室において、第134回安全キャラバンを実施し、安全講演会と安全情報交換会を行いました。

1.安全講演会

 富士電機各部門、関連会社から社員223名にご出席いただくとともに、原技協会員、原技協からも27名、計250名が出席しました。

講演会の冒頭、富士電機(株) 発電・社会インフラ事業本部 発電プラント事業部 事業部長 藤原 正洋 様から、
「富士電機での安全キャラバンは今回で4回目を数え、JAXAの川口先生に「はやぶさプロジェクト」の偉業についてご講演いただけるということで、貴重なお話しを聞けるものと期待している。
原子力の安全は、これまで一般の方々に身近なものとして捉えられていなかったが、昨年の東日本大震災に伴う津波によって福島の第一原子力発電所での壊滅的な事故を機に,日々の国民生活に係るものとして大きく扱われるようになってきた。
富士電機では、これまで原子力業界で起こったさまざまな事故を教訓として原子力の関係者が自ら業務の遂行にあたり、「安全は全てに優先する」という認識を持って事故を未然に防ぐために、さまざまな取り組みを通じて安全文化の醸成をおこなってきたが、これまで以上に原子力の安全に対して、取り組みを強化していかねばならないと気を引き締めている。
原子力の安全の取り組みを強化するためには、高い品質の製品を納めるとともに、製品を仕上げていく過程においても無事故・無災害で完成させることが必要である。お客様の要求に応える製品を提供し、サポートしていくために、高い安全意識と技術力を維持向上させていくことがメーカーの責務であると考えている。
福島第一原発の事故以来,原子力の未来に暗雲が立ち込め,事業環境が困難な状況に陥っている。この困難な状況にも打ち勝てるように、幾多の困難を乗り越えて小惑星からサンプルを持ち帰ったはやぶさプロジェクトの偉業を完遂された川口先生からお話しを聞く機会を与えていただいたJANTI殿に感謝を申し上げるとともに、ご講演をお引き受けくださった川口先生に御礼を申し上げたい。」

とのご挨拶をいただきました。

ご挨拶の後、独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 シニアフェロー 宇宙科学研究所 宇宙飛翔工学研究系 教授 川口 淳一郎 様から「“はやぶさ”が挑んだ人類初の往復の宇宙飛行、その7年間の歩み」と題してご講演いただきました。

講演では

◆ 「はやぶさ」の目的は、他の天体の試料を地球に持って帰ることを目的にした往復の宇宙飛行であり、小惑星から試料を持ち帰ることで、地球の中身を知ることであった。地球を構成する物質は、引力によって重いものは下へ沈んでいるので、地球の表面からは見ることはできない。しかし、地球も小惑星のような天体が集まってできたものであるため、地球と小惑星は共通の材料でできているといえる。小惑星は重いものも下へ沈んでいかないので、小惑星の外側にある物質を採ってくればかつて地球をつくり、今は地球の中に沈んでしまった材料がわかるということになる。「はやぶさ」は、その試料採取のために出掛けていった。
◆ これは他のどの国も誰も考えてもみなかったことであった。JAXAだけの独創から始まったことで、他に例はなかった。そしてこのプロジェクトを実現させるための手段・技術も、JAXAだけのオリジナルだった。
イオンエンジンで往復飛行させる、探査機をロボットに仕立てて、どこへ行くかを自分で決めさせる、自律性を持たせる、サンプルを採ってカプセルに納めそれを地球に帰還させて回収する。これはJAXAだけの発想と技術の挑戦であったが、2年3カ月前の2010年6月13日、「はやぶさ」は帰ってきた。
◆ 「はやぶさ」を通じて、幾つかの失敗を経験したが、これこそが人材育成に通じると思っている。つまり失敗経験を重ねると教訓は身に付くが、重ねていくと時にトラウマを残してしまう。では、成功を経験させていればいいのか、というと、それでは教訓が身に付かない。この矛盾を解消することが、人材育成のポイントであろうと思う。そのためには先輩と後輩、2代目と1代目が共同作業をして、人生や経験、教訓を伝承すべきだと思っている。
◆ アメリカはイノベーションを生み続けている一方で日本は閉塞している。日本も創造性を評価できる社会へと変わっていかなければいけないと思う。
かつて、日本は製造の国であった。低廉な労働力で、品質のよい製品を供給することに競争力を得ていた。しかしそれは過去のことである。バブルが崩壊して以来、20年の空白が起きたのも当然の帰結で、それは製造の国から創造の国に脱皮できなかったからだと思う。
私たちは創造する国に変わり、新しい技術や製品をつくって、違う国として変わっていかなければ、20年の空白はさらに続いていくと考えている。
若い人、子供達には未来を見つづけてほしい。そして常に動いて新しいものを弛まずに、その人の1ページを探す、そういう挑戦を続けて欲しい。 との貴重なお話をいただきました。

講演会終了後のアンケートでは、
「はやぶさ」の役割から、子育ての極意まで大変面白く聞かせて頂きました。新しい事へ挑戦すること、創造性のある人材育成の事など、おもしろかったです。特に子育ての話は、もう少し聞きたかったです。子供へのかける言葉など少し考えてみようと思いました。。
安全講演会を会員企業にも開放された試みは非常に良かったと思う。今日の原子力業界は、1F事故以降逆風が吹き停滞ムードが漂っている。川口先生の「はやぶさプロジェクト」の話は、技術のチャレンジであり、その発想や着想は原子力業界に携わる者についてとても勇気と元気をあたえる講演でした。ありがとうございました。
プロジェクトマネージャーの考え方など参考になった。技術伝達の大切さ、シニアとジュニアが一緒にやることの大切さ。会社での進め方で実践可能と思います。とても興味深い内容でした。
とても素晴らしい講演でした。臆せず挑戦という考えに深い感銘を受けました。過去に捕らわれないという考えも同感です。今後は常に新しいアイデアを浮かべながら、初心を忘れないように努めたいと思いました。元気の出るエネルギーを与えて頂いたと感謝しています。

などのご意見・ご感想をいただきました。

安全情報交換会

 安全情報交換会では、富士電機殿からご要望のあった「技術伝承-誇り高い物作りを目指して-」をテーマに、技術伝承活動の取り組みについて意見交換を行いました

以上